一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

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一般の皆さん

喉頭・気管・食道の病気

喉頭炎

 ウイルス、細菌、アレルギー、喫煙などさまざまな原因により喉頭に炎症が起きている状態の総称です。急性喉頭炎では声のかれ、咳、痛み、発熱などが、慢性喉頭炎では声のかれ、咳などが主な症状ですが、喉頭が空気の通り道であるため、炎症によって喉頭の腫れが強くなると呼吸が苦しくなることもあるので注意が必要です。治療は急性喉頭炎では原因、症状に合わせて、声や全身の安静、薬の全身あるいは局所投与(吸入)などが、慢性喉頭炎では、原因の除去、薬の局所投与などが選択されます。喉頭炎にはこの他、急性喉頭蓋炎、急性声門下喉頭炎など急激に呼吸困難となる病気や喉頭結核など、一般的治療では効果のないものもあります。

急性喉頭蓋炎

 呼吸が苦しくなる原因はたくさんありますが、大事な疾患の一つが急性喉頭蓋(がい)炎です(矢印)。この存在に気づくのが遅くなると息が詰まり直ちに命にかかわる可能性があります。発熱、のどの痛みなどの他に息がしづらい、物をのみこみにくいなどの症状が出てきたときは、急いで耳鼻咽喉科を受診して下さい。空気の通り道にある喉頭蓋が強く腫れて窒息の恐れがある場合は、まず、声帯の下方にある気管に首の皮膚から直接穴をあけ(気管切開)、呼吸の道を確保する必要があります。喉頭蓋の腫れには抗菌薬やステロイドの投与を行います。順調に経過すれば、通常は1~2週間ほどで急性喉頭蓋炎は改善し、首に開けた穴も塞ぐことができます。

急性喉頭蓋炎

声帯ポリープ・声帯結節

 声がかれる、あるいは出しにくいといったとき、声帯に何らかの異常が起きている可能性があります。声帯ポリープ・声帯結節(けっせつ)は声の乱用や炎症、喫煙などによって本来は直線的な声帯の辺縁が突出し声の変化が起きる病気です(矢印)。炎症を抑える治療や発声訓練で改善しない場合は手術治療も行われます。ここで大事なことは、喉頭がんやその他の悪性腫瘍により声がかれることもあるという事実です。したがって、声の調子がおかしくなったときは、まず診断を確定するために、耳鼻咽喉科を受診する必要があります。

声帯ポリープ

胃食道逆流症

 食道と胃の境目は飲食物が食道から胃に向かって通るときに開きますが、通常は閉じていて胃の内容物は食道へ逆流しない仕組みになっています。しかし、何らかの原因で胃の内容物が食道へ逆流する病態が胃食道逆流症(逆流性食道炎)で、胸やけや胃の内容物が逆流する感覚(呑酸:どんさん)、さらには咳や声のかれ、のどの不快感など喉頭炎に似た症状がでることもあります。本来は胃のなかにだけある胃酸により、食道やのどの粘膜が炎症を起こすためです。治療は胃酸の分泌を抑制する薬の内服が代表的です。その他、刺激のある食べ物を避ける、寝る直前は食べない、上半身を軽く挙げて眠るなどの生活指導も行われます。

気管支異物

 通常、口から食べた物は食道に入りますが、誤って喉頭から気管、気管支へと入ってしまったものを気管支異物といいます。喉頭には、異物が入ってきたときにそれが気管に入らないように咳を出して防ぐ仕組みがありますが、幼児ではこの働きが弱いために気管支異物になりやすいと考えられています。気管支異物は3歳未満の乳幼児に多く、ピーナッツなどの豆類が最も多く見られます。乳幼児が豆を含む菓子を食べていて、突然せき込んだり、その後もせきが続くような場合には、気管支異物を疑う必要があります。診断には、聴診、胸部X線検査などを行います。治療は全身麻酔をかけて、内視鏡を用いて異物を摘出することになります。内視鏡で摘出できない場合には、開胸手術が必要になることもあります。小さいお子さんには、気管支異物になりそうなかたい豆類を食べさせない、お子さんの手が届くところに豆類を置かないようにするなどの注意が必要です。

食道異物

 食道異物は乳幼児と高齢者に見られることが多く、乳幼児ではコインやボタン電池、玩具など、高齢者では入れ歯や錠剤の包装(PTPという硬い台紙)などが見られます(矢印)。また、魚や肉の骨、大きな肉の塊などが食道にひっかかって異物となることもあります。小さい子どもがいるおうちでは、お子さんの手が届くところにお金や口に入りそうな小さなおもちゃを置かないようにすることが必要です。成人の場合には異物を飲み込んでしまった自覚やのどの異物感、痛みなどから食道異物を疑うことができますが、小児の場合には何となく様子がおかしいという程度の症状しかない場合があり注意が必要です。診断にはエックス線検査や内視鏡検査を行います。異物は、多くの場合胃カメラ用の内視鏡を用いて摘出できますが、入れ歯の金具が食道粘膜に刺さって引っかかっているような場合には、硬性内視鏡による摘出術や頸部切開による摘出が必要になることがあります。

食道異物

喉頭がん

 喉頭がんは頭頸部にできるがんの中で最も多く、男性に多く見られ、喫煙が発生に大きく影響するがんです。声帯にできるがん(声門がん)が多く、声門がんでは初期から声がかれるため比較的早期に診断されます(矢印緑)。がんが進行すると、声がれだけでなく息苦しさなどの症状が現れてきます。一ヶ月以上声がれが続く場合には、喉頭がんの疑いがありますので、必ず耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。これに対して、声帯以外の部分から発生する喉頭がん(多くの場合声門の上方から発生する声門上がん)では、のどのいがらっぽさや異物感、違和感などの症状が見られますが、声がれの症状が出にくく、声門がんにくらべて進行した状態で診断されることがほとんどです(矢印赤)。また、頸部のリンパ節に転移しやすい特徴があり、首が腫れてから気づかれることもしばしばです。声門がんは、多くの場合放射線治療で治癒しますが、声門上がんの治療は、放射線、抗がん剤、手術を組み合わせて行います。

喉頭がん