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<滲出性中耳炎>
 じゅん君はかぜで小児科に通っているとき耳が痛くなったのですが、薬をもらっているから大丈夫と思って耳鼻咽喉科には行きませんでした。そのうち、かぜはよくなったのに耳のつまった感じと、聞こえがおかしいのが治りません。耳鼻咽喉科でみてもらったら、滲出性中耳炎といわれました。かぜにかかったときの急性中耳炎の治り方が十分でなかったためかもしれないとのことでした。鼻汁が多いので鼻の治療と、耳に空気を通す治療を何回かうけて治りましたが、中には治るまで数カ月以上もかかる場合もあるといわれました。
1)滲出性中耳炎〈しんしゅつせいちゅうじえん〉とはどんな病気ですか。
 鼓膜の奥の中耳腔という部屋に滲出液という液体がたまる病気です。中耳の粘膜の炎症と耳管の働きの低下があると、粘膜からしみ出た滲出液が中耳腔にたまるようになると考えられています。
子どもでは3歳ごろから10歳ごろまでに多くみられます。子どもの難聴の原因では一番多いものです。
2)どうして滲出性中耳炎になるのですか。
 一番多いのは急性中耳炎が十分に治りきらずに、鼓膜の内側に膿〈うみ〉が滲出液となって残ってしまう場合です。普通、中耳炎の膿は中耳の粘膜から吸収されたり、中耳と鼻の奥をつないでいる耳管をとおって、のどのほうに排出されます。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気や、のどに慢性の炎症があったり、アデノイドが大きい場合などでは、このような耳管〈じかん〉の働きが悪くなり、滲出性中耳炎になりやすくなります。
 滲出性中耳炎で中耳にたまっている液体は、中耳の粘膜からしみ出たものです。鼓膜に穴があいていないかぎり、水泳や洗髪で耳(外耳道)に入った水が中耳にまで入ることはありません。
3)どのような症状が出るのですか。
 急性中耳炎と違って、つよい痛みや発熱をともなわないのが滲出性中耳炎の特徴です。難聴が唯一の症状であることも多く、難聴の程度も軽い場合が多いので気づくのがおくれてしまうこともよくあります。難聴は、日常生活ではテレビのボリュームを上げる、呼んでも返事をしないなどで気づかれます。
4)どうやって診断するのですか。
 耳鼻咽喉科で鼓膜の状態をみたり、専門的な検査の結果によって診断します。鼓膜をとおして中耳にたまった液体を確認できることもあります。聴力検査や鼓膜の動きの検査によって、病気の程度もわかります。
5)どのような治療をするのですか。
 治療は、中耳にたまっている滲出液をなくして聞こえをよくするための治療と、耳に悪い影響を与えている鼻やのどの病気に対する治療とを並行して行うことが大切です。
 耳に対する治療では、聞こえの状態がかなりわるい場合は、とりあえず鼓膜を少し切って中にたまっている滲出液を吸い出す鼓膜切開術を行い、聞こえの改善をはかります。病気の程度が軽い場合には薬による治療や、鼻から耳に空気を送る耳管通気〈じかんつうき〉という処置を行います。たびたび滲出性中耳炎をくり返す場合は、鼓膜にチューブを入れる手術がよく行われます。
6)治りますか。
 適切な治療をうければほとんどの場合は完全に治ります。ただし、治療には時間がかかる場合も多く、根気づよく通院する必要があります。耳鼻咽喉科の先生の指示に従って治療を受けてください。 不十分な治療などのために、あとで入院手術が必要になる癒着性中耳炎〈ゆちゃくせいちゅうじえん〉や、真珠腫性中耳炎〈しんじゅしゅせいちゅうじえん〉になってしまうこともときにありますので放置することは避けてください。
7)鼓膜切開術とはどんな手術ですか。
 滲出性中耳炎に対して行われる鼓膜切開術〈こまくせっかいじゅつ〉は、鼓膜の内側にたまっている液体(滲出液)を吸い出すことで聞こえをよくするとともに、中耳の風通しを一時的によくして、中耳の粘膜の状態を改善する目的で行われる手術です。
 鼓膜を麻酔してからメスで鼓膜の一部を切開します。ほとんど痛みを感じることはないため、外来でもできます。鼓膜の穴は数日で自然に閉じますし、よほどくり返さないかぎり、あとにわるい影響は残りません。
8)鼓膜にチューブを入れる手術(チューブ留置術)はどんな手術ですか。
 鼓膜切開術と同じ目的で、鼓膜に小さなシリコンやテフロンのチューブを入れる手術です。チューブを入れることで、そうしないと数日で閉じてしまう鼓膜の穴が数カ月から1年以上開いたままにできるため、薬や処置でよくならない重症の滲出性中耳炎でも80%くらいは治ります。しかし、再発してチューブをまた入れなければならない場合もあります。
 方法は鼓膜切開術と同じで、切開して貯留液を吸い出してからチューブを入れます。外来でもできますが、場合によっては入院して全身麻酔で行うこともあります。多くの場合チューブは自然に抜けますが、とれない場合は中耳炎の治り具合をみながら抜くこともあります。なお、チューブ留置術のために鼓膜にできた穴は、その後の処置でほとんど閉じます。
9)スイミングスクールは休まなければなりませんか。
 耳や鼻の病気に対してはプールがあまりよくないことはたしかです。以前はなんでもだめということが多かったのですが、最近はその子の状態によっては滲出性中耳炎の治療中でもプールに入ることは可能と言われています。かかりつけの耳鼻咽喉科の先生とよく相談してください。