ひさし君は、食事をするのに時間がかかり、ときにはお肉を飲み込めないことがあります。また、夜寝ると毎日大きないびきをかいていて、睡眠は十分なようなのに、学校の授業中にはよく居眠りをしています。口の中をみると、のどの両側に丸いはれ物があります。耳鼻咽喉科の先生から、扁桃肥大のために食事や睡眠が障害されているのだと言われました。様子をみて、よくならないようなら手術をした方がよいとのことでした。
1)
扁桃と扁桃腺は同じものですか。どこにあるのですか。
以前は扁桃腺と言っていましたが、今は「腺」を取って「扁桃」と呼ばれます。口を大きく開けてのどの中をみると、のどちんこ(口蓋垂〈こうがいすい〉)の両側にあるのが一般的に言われる扁桃、正しくは口蓋扁桃です。
扁桃にはほかに、のどの一番上(鼻の奥)にある咽頭扁桃〈いんとうへんとう〉(アデノイド)や舌の付け根にある舌扁桃〈ぜつへんとう〉などがあります。
ちなみに、扁桃とはアーモンドのことで、口蓋扁桃がアーモンドに似ているために名付けられました。
2)扁桃の役目は何ですか。
口蓋扁桃と咽頭扁桃、舌扁桃はのどの入口を取り囲むようにあって、いわば身体の入口の関所のような働きをしています。つまり、鼻や口から入ってきた細菌やウイルスをとらえて、それに対して抵抗するからだの働き(免疫〈めんえき〉)の一部を担っています。
3)
免疫の一部を担っている扁桃は大きい方がよいのではないですか。
たしかに成長の著しい子どもの時期は扁桃の活動も盛んなため、扁桃も大きく、大人になると小さくなってきます。ただし、扁桃が大きすぎるといろいろな障害をひきおこす原因になります。
4)扁桃が大きいためにひきおこされる障害とはどのようなものですか。
扁桃が大きいことを「扁桃肥大〈へんとうひだい〉」と言います。扁桃肥大のために空気の通り道が狭くなると、いびきや、睡眠時無呼吸症候群〈すいみんじむこきゅうしょうこうぐん〉をひきおこす原因になります。この場合、十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず眠りが浅いため、朝起きにくい、昼間に居眠りをするなどの原因になります。のどは食事の通り道でもあるので、扁桃肥大があると、食物が飲み込みにくい、食事に時間がかかる、身長や体重の増加が鈍いなどの原因になることがあります。
5)
扁桃肥大は手術が必要でしょうか。
昔は、扁桃が大きいというだけで、手術をした時期もありました。しかし、現在は、扁桃肥大のための症状(睡眠障害や飲み込みの障害など)の程度によって、手術をするかどうかが決められます。