一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について
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新型コロナウイルス感染症による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明に資する研究成果の発表

 日本耳鼻咽喉科学会と金沢医科大学の研究グループによる、新型コロナウイルス感染症による嗅覚、味覚障害に関する調査結果がまとめられ、厚生労働省アドバイザリーボードから公開された。研究は厚生労働科学特別研究事業(研究代表者 三輪 高喜 金沢医科大学医学部耳鼻咽喉科学教授)により行われた。

PDFファイル 新型コロナウイルス感染症による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明に資する研究

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、発症早期に嗅覚、味覚障害が発生することが知られているが、わが国における発生頻度と予後は十分に知られていない。そこで、本研究の目的は、わが国におけるCOVID-19による嗅覚障害、味覚障害の発生頻度や特徴を把握するとともに、どの程度の期間症状が持続するか及びその予後を把握することを目的とした。対象と方法:令和3年2月から5月の間に、20歳から59歳までの病院、ホテル療養中のCOVID-19患者を対象とした。症状に関するアンケートと嗅覚、味覚検査を患者自身に実施してもらい、インターネットで回答を得た。アンケート回答者には、発症1か月後に電子メールで2回目のアンケート回答と嗅覚、味覚検査実施の依頼を送付した。結果:入院、ホテル療養中のアンケート回答者は251名、そのうち検査実施者は119名であった。回答者中、57%に嗅覚障害を、40%に味覚障害を認めた。全体の37%は嗅覚、味覚両者の障害を認め、味覚障害のみを認めたものは4%と少なかった。嗅覚障害ありと回答した患者の多くが嗅覚検査でも低値を示したのに対し、味覚障害ありと回答した患者の多くが味覚検査では正常を示した。以上の結果から、味覚障害を訴える患者の多くは風味障害である可能性が高いことが示唆された。嗅覚障害、味覚障害ともに女性に頻度が高く、加齢とともに頻度は減少した。嗅覚障害、味覚障害の発生は、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、鼻の痛みと正の相関を示した。障害の程度としては、嗅覚障害では59%が、味覚障害では37%が全くしないと回答したが、速やかに回復する症例も認められた。異嗅症は20%に、異味性は39%に認められた。障害によるQOLへの影響は、「飲食が楽しめなくなった」など食に関することで嗅覚障害、味覚障害と強い相関を示した。調査時に嗅覚障害、味覚障害ありと回答した患者のうち、それぞれ60%、84%が1か月後の調査で改善を示した。この結果は海外の報告とほぼ一致し、嗅覚障害、味覚障害はコロナウイルス感染症の治癒に伴い、大凡の人で早急に消失するものと思われた。今後、引き続き、3か月後、6か月後の改善率を、本研究とは別にアンケートシステムで引き続き追跡するとともに、後遺障害に対する治療方法を検討する予定である。

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
理事長 村上 信五
金沢医科大学医学部耳鼻咽喉科学
教授 三輪 高喜