一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

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学会について

沿革

4.その後の現況(平成5年から17年)

 平成8年に作成された日本耳鼻咽喉科学会ホームページの「学会の沿革」は、「日本耳鼻咽喉科学会百年史」の「日本耳鼻咽喉科学会史」からの転載である。「日本耳鼻咽喉科学会百年史」は平成5年(1993年)に発刊されたものであり、以来10余年を経過したので、今回「学会の沿革」―平成5年以降を追加記載した。

1)時代背景と学会

 21世紀に入り、少子高齢化の進行と、2007年からの団塊世代の引退という時代を迎えるにあたって、わが国には時勢にあった年金・医療・社会福祉などの社会保障制度の構築と、国家財政の健全化が強く求められる。この流れを受けて、診療報酬の包括払い制導入、診療費自己負担比率の見直し、介護保険制度の導入、国立医療機関の独立行政法人化など医療制度に大きな変革がなされるとともに、IT技術の診療現場への導入、医療事故報告制度や情報管理の法制化など、医療の効率化と患者主体の医療を目指した施策が次々に実施されている。

 (社)日本耳鼻咽喉科学会(以下、日耳鼻と略す)は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の学術振興に寄与するとともに、専門医療技術の進歩を促進し、福祉医療、学校保健や産業・環境保健などを通して社会に貢献することをその目的としている。この趣旨を達成するため、日耳鼻はその業務組織に示す委員会を設け、都道府県地方部会と密接に連携して日常活動を行っている。

 平成14年以降の学会活動については、日耳鼻のホームページに理事長挨拶および理事会ニュースとして開示している。

2)関連する学会

 耳鼻咽喉科医が担当する医学・医療領域は広範化する一方、専門・細分化が進んでいる。平成5年以降についてみても、日本平衡神経学会は平成12年に日本めまい平衡医学会に、日本頭頸部腫瘍学会は平成16年に日本頭頸部癌学会に改名し、平成17年には日本嚥下研究会と日本小児耳鼻咽喉科研究会がそれぞれ学会に昇格した。その結果、日耳鼻の関連する学会・研究会は平成17年には17となった。これらの学会・研究会は当該領域の研究推進とともに、診療標準化に向けた診療ガイドラインの作成、学術用語の検討、治療成績判定基準の提示など多岐にわたる活動を行い、学術振興に重要な役割を果たしている。

3)専門医と専門医制度

 専門医に関しての全国的組織は以前「学会認定医制協議会」と呼ばれていたが、第三者的な性格と機能の拡充を図るために機構改革を行い、平成12年4月より「専門医認定制協議会」と改称された。その後、各学会における専門医制度の認定に関わる第三者機関として機能するために平成14年「有限責任中間法人日本専門医認定制機構」が設立された。この機構が目指すものは、専門医の質の向上と国民からの信頼獲得である。この中で、日耳鼻は基本領域の学会の一つとして認められ、専門医に関してさまざまな改革を行ってきた。

 平成5年以降の大きな変革は、

  1. 専門医認定制協議会からの要請により、認定専門医を専門医と呼称変更(平成14年5月17日改正)、
  2. 専門医の広告とそれに伴う専門医制度規則の変更と研修マニュアルの改正、
  3. 臨床研修の必修化に伴う専門医制度規則の変更と専門研修記録簿の改正である。

 (社)日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医の広告は平成14年12月16日付で厚生労働省から承認された。これに伴い、専門医の更新期間を7年から5年へ変更する規則改正と専門医証(日耳鼻IDカード)の導入を行った(平成15年5月23日改正)。この変更に伴い、研修記録マニュアルについても認定更新に必要な条件などを見直した(平成16年5月14日改正)。

 臨床研修の必修化が平成16年4月より始まったことを受けて、専門医制度規則の改正を平成15年5月23日に行った。この改正で、耳鼻咽喉科専門医の卒後研修は現行の5年間(一般臨床研修を含む)から6年間(2年間の一般臨床研修と4年の専門領域研修の合計)へと変更された。また、近年の耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学の進歩に対応して、研修記録簿の全面的改正を行い、専門領域研修の目標や内容などを見直し、専門医にとって必要最小限の「経験すべき検査」と「自ら執刀すべき手術」の項目を新たに設けた。

4)会員数

 平成6年以降の日耳鼻の会員数ならびに学会認定専門医数については、ともに増加し、平成9年度には会員数は1万人を超えた。その後も増加傾向を示していたが、平成16年から新医師臨床研修制度が始まり新卒者の入会が減少したため、平成17年に初めて会員数が前年より少なくなった。

5)会報とANL

 日耳鼻は、邦文の学会誌として日本耳鼻咽喉科学会会報(会報通常号)と、都道府県地方部会主催の学術講演会の抄録集として会報増刊号を発行してきた。しかし、平成18年の109巻から増刊号は廃止し、地方部会講演会については、講演会名、演者名、演題名などを会報に掲載することにした。

 英文誌、Auris NasusLarynx(ANL)は、昭和49年に(財)国際耳鼻咽喉科学振興会(SPIO)から発刊されたが、平成9年から日耳鼻の英文誌に正式に認知された。これを契機に、日本のみならず世界各国の編集委員も加わり、「世界のジャーナル」を目指して新たな一歩を踏み出した。その後、海外からの投稿論文が年々増加し、2005年にはインパクトファクターとして0.457と評価された。SPIOは、平成11年に特定公益増進法人としての認可を受け、現在日耳鼻総会を始め、多くの関連する学会がSPIOの協力のもとに学会運営されている。

6)第50回耳の日

 平成17年3月3日に、昭和31年に制定された「耳の日」は50回を迎え、これを記念して「第50回耳の日」の特別ポスターを作成するとともに、各都道府県地方部会においてさまざまな形の記念行事が開催された。今後も日耳鼻は「いい耳で生活の質を高めましょう」をモットーに、全国の地方部会が行う「耳の日」の行事を積極的に支援して、国民の健康の増進と福祉の充実に貢献していきたい。

7)耳鼻咽喉科と社会連携

 これまでのような、診察室の中の医師患者関係に止まることなく、診察室の外に出た在宅、介護を含めた、より社会的な関連をもった活動が今後の医療には求められる。この観点から、平成16年11月開催の第18回日耳鼻専門医講習会において、「耳鼻咽喉科の社会連携」と題して新生児聴覚検診、補聴器、嚥下障害の問題を取り上げた。

 新生児聴覚検診については、平成12年度から厚生労働省は、手上げ方式で新生児聴覚検診事業を開始した。これを受けて、新生児の聴覚スクリーニングは産科、新生児科などが担当し、精密聴覚検査は耳鼻咽喉科が実施するという体制が取られるようになり、日耳鼻は精密聴力検査施設を認定し、そのリストを公表した。精密聴力検査によって診断された難聴児には身体障害者手帳、補聴器が交付され、適切な教育・療育機関において早期聴覚学習が行われ、人工内耳手術の適応が検討されるようになった。

 補聴器については、難聴者に不利益となる事例が多く発生している、わが国の補聴器販売の実態を早急に改善することを目的として、平成16年5月に「補聴器販売の在り方に関する(社)日本耳鼻咽喉科学会の基本方針」を決定した。今なぜ補聴器か?については二つの理由がある。その一つの理由として、平成17年4月から施行された「薬事法の改正」(厚生労働省)があげられる。この改正薬事法で、補聴器は単なる医療機器ではなく、「管理医療機器」に変更された。その結果、補聴器の製造販売業者と販売業者には管理者の設置などの義務が課せられるようになった。もう一つの理由は、平成16年11月から施行された「特定商取引に関する法律等の改正」(経済産業省)で、この法律の改正によって誇大な広告や勧誘を行っている業者に対しては行政庁が効能、効果の裏付けとなる根拠資料の提出を求め、その資料の提出がない場合には行政処分の対象とすることができるようになったことがあげられる。このような状況を踏まえ、上記の、日耳鼻の基本方針の決定について、業者団体に働きかけるとともに、厚生労働省、経済産業省などに理解と支援を求めてきた。このような外部への働きかけと平行して、「日耳鼻補聴器相談医」制度を平成17年度から発足させるために、都道府県地方部会による補聴器相談医委嘱のための研修会を開催していくことになった。

 嚥下障害については、医療のcureからcareへの推移を受けて嚥下障害患者への対応のニーズが増大している。この事情を受けて、日耳鼻では平成15年度より嚥下障害講習会を毎年開催することにして、47都道府県からの受講者を集めることができた。現在、平成16年5月に出版した「EBMを用いた診療ガイドライン作成・活用ガイド」(中山健夫著、金原出版)を基にして「嚥下障害・診療ガイドライン」を作成中である。

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平成17年10月作成