一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

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理事長あいさつ

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耳鼻咽喉科の歴史、現在、そして未来

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 理事長 森山  寛

 日本耳鼻咽喉科学会は来年で創立125周年を迎えます。学会創設に尽力した金杉英五郎が、5年のドイツ留学を終え帰国した明治25(1892)年、当時の欧州では、耳、鼻、喉頭はそれぞれ独立した科でした。金杉は世界で初めてこれらを統合し“耳鼻咽喉科”という新しい名称と学問体系を創設、翌明治26(1893)年、「東京耳鼻咽喉科会」を結成し、学術誌「耳鼻咽喉科雑誌」を発刊したのが、本学会の嚆矢です。

 現在では1万1千名余の会員と16の関連する学会とを有し、質の高い耳鼻咽喉科医を育成する専門医制度を運営し、多くの学術集会・専門医講習会などの開催や和文・英文ジャーナルの発刊と共に、先端研究や高度医療技術の開発支援を行っております。また福祉医療(成人老年・乳幼児)、産業・環境保健、保険医療などソーシャル医療にも熱心に取り組んでいます。

 耳鼻咽喉科は、感覚・運動器科学として聴覚や発声・言語など人間社会の発展やカルチャーの形成に重要な臓器を扱う学問・診療領域です。また難聴、嗅覚・味覚障害、平衡障害、嚥下障害など、超高齢化社会においては、認知症やQOLに直接に関係します。耳鼻咽喉科は頭頸部外科学も含め、バラエティに溢れる専門分野を有し、幅広い診療をカバーする魅力ある診療科です。また眼科、小児科、神経内科、脳外科、形成外科、歯科・口腔外科など連携する領域科が多く存在し、幼小児、若年、壮年者から高齢者まで対象層も広く、診断から保存・手術的治療までトータルに関与でき、外科系でありながら内科的な側面もある奥深い領域科です。

 新たに立ち上がった専門医機構により、整備指針が示され、平成30年度からはすべての基本領域学会が新プログラムで一斉スタートする予定です。それに先駆けて耳鼻咽喉科学会は平成29年度から、大学病院などの基幹病院を中心に、臨床実績などを重視した魅力ある専門研修プログラム(いわゆる暫定プログラム)を整備した結果、約200名の専攻医が良質な教育環境のもと研修を開始しました。一方、専門医機構の掲げる専門医の更新に係る単位制の導入後より、学術講演会や専門医講習会において、会員の先生方にはご不便をおかけしておりますが、この混乱をミニマイズすべく、プログラムや会場設定などの早急な改善を検討中です。

 平成28年度には、日耳鼻の運営や耳鼻咽喉科の将来ビジョンについて幅広く横断的に見直す“改革推進会議”を始め各種WGを立ち上げ、改革に向けた活発な活動に着手しました。“医会全般に関するWG”では、地域医療計画に即し、救急・在宅医療や学校保健など地域のニーズに応える耳鼻咽喉科医療の充実を図り、全国的な医会組織の構築、機能強化に向けて着実に前進しています。また“学術に関するWG”では、学術講演会や専門医講習会の在り方を再検討する一方、関連する学会の機能的な連携に関しても討議を始めました。今後の学術の質の向上や人口減・会員数減を考えると、学問の専門性と進歩のための細分化の時代から、学会の集約化も視野に入れた統合の時代に移るべきと考えます。まずは学会の同時開催などについて各関連する学会と歩調を合わせながら、継続して模索してゆきます。また各種の会員データー管理や専門医の更新に係る単位取得なども含めた会員の利便性アップのための“会員情報の一元管理のWG”を立ち上げ、会員情報を効率よく正確に運用する準備をしています。

 124年前に耳・鼻・咽喉を統合、世界初の「耳鼻咽喉科」を立ち上げた日本耳鼻咽喉科学会として、患者をトータルで診るという原点に立ち返り、境界領域の科を始めとする他科との連携によりお互いの存在価値、専門性を高めて参ります。良質な医療を提供する感覚器・運動器科学のエキスパートの育成と質の向上、耳鼻咽喉科に期待される多様な課題解決を通じて、耳鼻咽喉科学(医学・医療)の発展に寄与し、患者さん、地域社会の利益に貢献していく、それが耳鼻咽喉科・頭頸部外科のビジョンです。

2017年7月19日掲載