一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

English
メニュー
  • 会員・医療関係の皆さん
  • 医学生・研修医の皆さん
  • 一般の皆さん

医学生・研修医の皆さん

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の歴史

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の発展の歴史は、医工学技術発展の歴史でもある。

(1)1873年 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の誕生

19世紀末、耳鼻咽喉科領域における2大問題は中耳炎による頭蓋内合併症と喉頭癌への対応であった。1873年にSchwartzeが中耳炎に対する乳突削開術を、Billrothが喉頭癌に対して喉頭摘出術を初めて実施した。第1回日本耳鼻咽喉科学会が開催されたのはそのような耳鼻咽喉科・頭頸部外科の黎明期である1893年(明治26年)のことで、今から120年以上も前のことであった。

(2)1953年 機能温存・改善の試み

微細な構造を可視化するMicroscope(手術顕微鏡)の登場

手術用双眼顕微鏡が、初めて医療に応用されたのは耳科領域であった。1953年、Wullsteinにより鼓室形成術が開発され聴覚機能の温存・改善が図られた。50年代後半には喉頭の手術に応用されたが、眼科、脳神経外科への応用は1960年代を待たねばならなかった。

放射線治療・化学療法の夜明け

臓器と機能の温存を目的としたリニアックやコバルト60による放射線治療が始まった。さらに1960年代になるとCDDPを用いた化学療法やレーザー治療などが開発された。

(3)1985年 低侵襲手術・人工感覚器

傷痕の残らない低侵襲手術

低侵襲手術になくてはならない内視鏡を初めて医療に導入したのも耳鼻咽喉科・頭頸部外科である。1985年にMesserklingerが鼻の穴を利用するKeyhole Surgeryである内視鏡下副鼻腔手術(FESS)を報告した。Mouretが腹部内視鏡下手術を行う2年も前のことで、1990年代以降、多くの外科手術は低侵襲なKeyhole Surgeryによっておきかえられてきた。

失われた『感覚』を取り戻す

20世紀最大の発明の一つとも言われる人工内耳。失われた、または生まれながらに備わっていなかった聴覚を獲得する画期的なテクノロジーの開発・応用。『感覚』を初めて医療介入によって取り戻した。一方、人工中耳は柳原尚明教授らが世界で初めて臨床応用に成功した。

頭頸部再建手術の進歩

根治を目的とした広範囲切除後には大きな障害を残す。複雑な形態と機能を有する頭頸部領域では適切な再建術が必要となる。1970年代から微小血管吻合による遊離組織移植術が次々と開発され、1980年代はこうした治療が標準術式として広がっていった。

(4)21世紀 最新医工学技術の応用

Computer-aided Surgery

手術操作部位の3次元的位置をリアルタイムにCTやMRI画像の上に重畳表示するナビゲーションシステムを早期に導入したのも耳鼻咽喉科・頭頸部外科である。さらに、マスタースレイブ型内視鏡下手術用の医療ロボットが咽喉頭の手術へすでに応用されている。ロボットアームが大きすぎるという問題点はあるが、より高度な内視鏡手術が可能となり、本邦での開始も間近である。

短い治療期間 少ない副作用

頭頸部がん病巣をピンポイントで狙いうちし、正常細胞へのダメージを最小限に抑え身体的負担の少ない最先端の重粒子線治療が日本発で始まった。

再生医療の応用

生体内で組織再生を誘導するin situ Tissue Engineeringの概念が生まれ、この手法により開発された人工気管を用いて、本邦で世界に先駆けての臨床応用が行われた。