一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

事業計画・事業報告

平成30年度事業報告

定款第4条に基づき、耳鼻咽喉科関係の研究・調査、講演会・ワークショップなどの開催、機関誌・図書の発行、社会保障に関する調査などを行った。

I.総会・学術講演会事業

第119回総会・学術講演会を平成30年5月30日~6月2日横浜市・パシフィコ横浜において山岨達也会長のもとに開催し、会員の業績発表、特別講演および下記の宿題報告などを行った。
宿題報告

  1. 上気道炎症の粘膜ワクチンによる制御
    黒野祐一(鹿大教授)
  2. QOLからみた耳科手術戦略
    阪上雅史(兵庫医大教授)

II.調査および研究事業

  1. 耳鼻咽喉科医療に関する全国調査(基礎的調査)を行った。
  2. 平成29年に実施した耳鼻咽喉科医療に関する全国調査(通常調査、基礎的調査)の調査結果を公表した。
  3. 耳鼻咽喉科学とその専門領域に関わる問題の調査および検討を行った。
  4. 平成29年度3歳児健診における聴覚検査および1歳6カ月児健診における聞こえの確認方法に関する実態調査を行い、その結果を冊子にまとめ全国会議で配布した。
  5. 昨年度新生児聴覚スクリーニング後の精密検査機関調査を行った結果をもとに、「新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査機関リスト」の改訂版を作成し、日耳鼻学会HPへ掲載した。
  6. 新生児聴覚スクリーニング後・乳幼児健診後の精密聴力検査の流れについて検討し、二次聴力検査機関の条件についてアンケート調査を行った。

III.広報事業

  1. 耳鼻咽喉科の啓発のためカレンダーを制作し、会員に配布した。
  2. 第64回「耳の日」、第58回「鼻の日」を主催し、ポスターを作成するとともに、都道府県地方部会において耳、鼻の疾患についての無料相談会、市民公開講座を行った。また、耳鼻咽喉科に関する広報活動を行った。
  3. ホームページの掲載事項について定期的に更新を行い、内容を充実させた。
  4. ホームページの「一般の皆さんへ」は、患者様が医療機関にかかるうえで非常に参考となるページであるため、「医療のかかり方懇談会」および雑誌「厚生労働省」に資料提供してほしいとの厚生労働省の依頼に対して、対応した。
  5. 学会創立125周年を踏まえ、オウンドメディアサイトを立ち上げて、耳鼻咽喉科学領域の重要性を国民にアピールする啓発活動を継続して行った。
  6. 「耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を目指そう」パンフレットを各医育機関に配布した。
  7. 総会・学術講演会で医学生、臨床研修医のためのセッションおよびハンズオンセミナーを行った。

IV.研究会および学術講演会等事業

  1. 第119回学術講演会を山岨達也会長のもとに、平成30年5月30日~6月2日横浜市で開催し、約5,500人が参加した。
    宿題報告者黒野祐一会員、阪上雅史会員に対し奨学金を贈呈した。
  2. 第32回専門医講習会を平成30年11月17日・18日福岡市で開催し、約2,300人が参加した。
  3. 第44回夏期講習会を平成30年7月7日・8日軽井沢町で開催した。
  4. 第16回嚥下障害講習会を平成30年4月1日東京都で開催した。
  5. 第44回全国身体障害者福祉医療講習会および第24回補聴器キーパーソン全国会議を平成30年5月19日・20日大津市で開催した。
  6. 日耳鼻保険医療委員会全国協議会を平成30年9月16日東京都で開催した。
  7. 平成30年度社会医療部関係全国会議を平成31年1月26日・27日東京都で開催した。
    (1)保険医療委員会ワークショップおよび全国会議
    (2)産業・環境保健委員会全国委員長会議
    (3)福祉医療・成人老年委員全国会議
    (4)福祉医療・乳幼児担当者全国会議
    (5)学校保健全国代表者会議ならびに学校保健研修会
    (6)医事問題委員会ワークショップおよび全国会議
  8. 第43回医事問題セミナーを平成30年6月16日・17日中巨摩郡で開催した。
  9. 各都道府県地方部会が学術講演会を開催した。
  10. 都道府県地方部会がブロックにおいて学術講演会を開催した。
  11. 各都道府県地方部会が耳鼻咽喉科学校医の研修会を開催した。

V.専門医制度に関する事業

  1. 平成30年度専門医認定試験を平成30年8月3日・4日東京都で行った。
    平成30年度専門医認定者数は、試験による者203名、更新による者986名であり、取り消し(逝去、退会、会費未納)は161名である。
    また、平成30年度新規研修施設認可は10施設、認可更新は105施設である。
    これにより平成31年3月31日現在の専門医総数は8,795名、認可研修施設は621施設である。
  2. 専門医認定更新のため、研修実績としての学術集会を調査・記録する作業を引き続いて行った。
  3. 新専門医制度における専門研修指導医98名を登録した。これにより平成31年3月31日現在の登録者数は1,762名である。
  4. 平成30年度認可研修施設指導責任者および研修プログラム統括責任者・専門医制度委員会議を平成31年1月26日東京都で開催した。
  5. 平成31年度の専門研修プログラムを審査し、98の専門研修プログラムが日本専門医機構に認定された。

VI.学術誌および図書等刊行事業

  1. 会報の普通号11巻、総会号1巻(121巻4号)を刊行した。一回の発行部数は11,200部である。
  2. 新任教授の自己紹介など会員に資する情報を掲載するなど、誌面の充実を図った。
  3. 専門医通信を会報に掲載した。
  4. J-STAGEおよびメディカルオンラインに日耳鼻会報掲載論文を掲載した。
  5. 「医学・医療のトピックス」コーナーにおいて、他領域を含めた専門家による総説を掲載した。
  6. 「ANL Secondary Publication」コーナーにおいて、Auris Nasus Larynxに掲載された論文のうち、会員に有益と思われる論文の和文要旨を掲載した。
  7. 英文誌(Auris Nasus Larynx)普通号6巻を刊行した。一回の発行部数は500部である。
  8. 英文誌購読会員の維持と管理を行った。

VII.社会保障に関する耳鼻咽喉科学的研究調査事業

  1. 耳鼻咽喉科保険医療実態調査を行った。
  2. 関連する学会が作成した診療ガイドライン等の評価を行った。
  3. 日耳鼻補聴器相談医制度の適切な運営を行い、相談医の委嘱を行うとともに、更新のための講習会を都道府県地方部会で開催する支援を行った。
  4. 補聴器相談医名簿を地方部会ごとに更新し、ホームページに掲載した。また、認定数は4,426名である。
  5. 「補聴器の購入費用に係る医療費控除の取り扱い」ならびに「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」に関する会員および関連団体からの質問事項に対して回答文書を作成し、日耳鼻学会HPへ掲載した。あわせて、利便性向上のため同診療情報提供書の書式変更を行った。
  6. 騒音性難聴担当医の地域産業保健センターおよび産業保健総合支援センターへの登録促進を行った。
  7. 厚生労働省労災疾病臨床研究事業を受託した。
  8. 「騒音性難聴に関わるすべての人のためのQ&A」を発行し、全国の産業保健センターに配布した。
  9. 平成30年度「耳鼻咽喉科学校保健の動向」を刊行した。
  10. 日本医師会および日本学校保健会の学校保健関連事業に参加した。
  11. 耳鼻咽喉科学校健診のあり方を検討した。
  12. 耳鼻咽喉科健康診断の全国定点調査を行った。
  13. 耳鼻咽喉科健康教育に関する調査を行った。
  14. 聴覚障害児に対する合理的配慮ならびに軽中等度難聴児に対する補聴器助成制度に関する調査を行った。
  15. 医事問題に関し調査・研究を行い「医事紛争とその問題点」34巻として取りまとめ、会員に周知した。
  16. 厚生労働省、国立身体障害者リハビリテーションセンター主催の「補聴器適合判定医師研修会」(平成30年7月18日~21日)ならびに「音声言語機能等判定医師研修会」(平成30年12月12日~14日)の開催を後援した。

VIII.関連学術団体等との協力事業

  1. 第51回日耳鼻・関連する学会会議(平成30年5月31日横浜市)および第52回日耳鼻・関連する学会会議(平成30年11月18日福岡市)を開催した。
  2. 平成29年に実施した耳鼻咽喉科専門医研修施設を対象とした「言語聴覚士雇用の実態調査」の集計結果を会報およびHPで公開した。
  3. 全国の耳鼻咽喉科診療所を対象とした「言語聴覚士雇用の実態調査」を行った。
  4. 平成30年12月20日に日本言語聴覚士協会と日本臨床衛生検査技師会との三者会談を開催した。
  5. 騒音性難聴防止のための日本耳鼻咽喉科学会の取り組みについて、日本職業・災害医学会学術大会のシンポジウムで講演した。
  6. 言語聴覚士の業務拡大に関する取り組みに支援を行い、その成果として、言語聴覚士による行為として「平衡機能検査(眼振電図検査、重心動揺計検査)」が承認された。
  7. 臨床検査技師の業務拡大に関する取り組みに支援を行い、その成果として、臨床検査技師法施行規則における臨床検査技師による「聴力検査」に、自覚的聴力検査、他覚的聴力検査および行動観察による聴力検査が含まれるとの解釈を、厚労省が承認した。
  8. 認定言語聴覚士講習会(聴覚障害、摂食・嚥下障害、失語・高次脳機能障害、成人発声発語障害領域)へ講師を派遣した。
  9. 臨床検査技師養成講習会(日本臨床衛生検査技師会主催)に講師を派遣した。
  10. 検体採取等に関する厚生労働省指定講習会に講師を派遣する等協力した。
  11. 日本学術会議、日本医学会連合、日本専門医機構ならびに日本学術協力財団の事業に協力した。
  12. 日本医師会医療保険関連委員会に委員を派遣し、日本医師会の業務に協力した。
  13. 医薬品医療機器総合機構に協力した。
  14. 外科系学会社会保険医療委員会連合(外保連)の事業に協力した。
  15. 予防接種に関連する団体と共に2020年度までに風疹排除を達成するための緊急要望書提出に協力した。
  16. 平成30年4月25日(水曜日)開催の「手話を広める知事の会総会・手話言語フォーラム」にパネリストとして出席し、全日本ろうあ連盟の事業に協力した。
  17. 耳鼻咽喉科学に関連する学会と緊密な連絡をはかり、情報の収集、共通の問題について検討した。
  18. 地域における耳鼻咽喉科医療を推進、充実するため、学会・医会協議会を平成30年11月18日福岡市で、また学会・医会協議会常任委員会を平成30年1月27日東京都で開催した。
  19. 日本歯科医師会と嚥下障害診療などについて協議を行った。

IX.国際的な研究協力推進事業

  1. 国際耳鼻咽喉科学会連合(IFOS)の関連事業に協力した。
  2. 諸外国の耳鼻咽喉科学会および関連学会との連絡にあたった。
  3. The 3rd Stakeholders’ Meeting for the World Health Organization’s programme on prevention of deafness and hearing loss(2018年7月3日~4日、ジュネーブ)に代表者を派遣した。
  4. The 2018 AAO-HNSF Annual Meeting(2018年10月7日~10日、アトランタ)に関して、座長・演者の適任者を推薦するなど協力した。
  5. 第17回日韓耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会(2018年4月6日~8日、光州)に代表者を派遣した。
  6. 台湾耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会(2018年11月3日~4日、台北)および第14回アジア・オセアニア耳鼻咽喉科学会議(2019年1月9日~13日、ハイデラバード)に代表者を派遣するなど協力した。
  7. 公益財団法人国際耳鼻咽喉科学振興会(SPIO)の事業に協力した。

X.IFOS世界会議誘致事業

  1. 2025年に開催が予定されているIFOS世界会議の誘致活動に関する準備を行った。

XI.会議およびその他

  1. 平成30年度定時社員総会を平成30年5月30日(水曜日)横浜市・パシフィコ横浜において開催した。
  2. 日耳鼻創立125周年記念事業として、平成30年5月30日に第119回日耳鼻総会・学術講演会において125周年記念式典を行うとともに、日本耳鼻咽喉科学会125周年記念誌を平成30年11月に発刊した。
  3. 理事会を平成30年4月から平成31年3月まで11回開催した。
  4. 会員情報新システムを稼働させた。
  5. 日耳鼻研究奨励賞を創設し、2名の受賞者を決定した。
  6. 医育機関代表者・都道府県地方部会長合同会議を平成30年5月30日横浜市で開催した。
  7. 都道府県地方部会長会議を平成30年11月17日福岡市で開催した。
  8. 会員情報新システムの稼働や、改革推進会議第3次答申に基づく定款の見直しを行った。
  9. 利益相反について周知と管理を行った。
  10. 耳鼻咽喉科専門研修認可施設への復職支援に関する調査を行った。
  11. 関連する学会等の男女共同参画についての調査結果を公表した。
  12. 関連する学会の男女共同参画支援および各大学における育児支援、講演会等の情報提供を行った。
  13. 会員の意識改革のためのパネルディスカッションを第119回日耳鼻総会・学術講演会で行った。
  14. 第119回日耳鼻総会・学術講演会開催中に「地域における女性医師支援懇談会~耳鼻咽喉科・女性医師支援全国連絡会」(日本医師会共催)を開催した。
  15. 厚生労働省の診断群分類案作成調査研究班に協力した。
  16. 医賠責審査会と連携をとり、医事紛争の合理的解決に努めた。
  17. 日本医療安全調査機構の調査分析事業に参画した。
  18. 労働衛生における聴覚管理に関する事業に協力した。
  19. 医療事故に関連して開催が推進される大学病院・基幹病院の事故調査委員会に外部委員を推薦するなど協力した。
  20. 医療事故データーベースのバージョンアップを行った。
  21. 医療事故や医療トラブルの防止、不適切診療への対策など、日本医師会と連携し推進した。
  22. 勤務医師賠償責任保険制度の適正な運営を行った。
  23. 耳鼻咽喉科学に関する諸問題について関係省庁や日本医師会と連携した。
  24. 医会の全国組織化に向けた取組みの第1段階として、全国耳鼻咽喉科医会を平成30年7月1日に設立した。
2019年6月6日掲載