一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

事業計画・事業報告

令和元年度事業報告

定款第4条に基づき、耳鼻咽喉科関係の研究・調査、講演会・ワークショップなどの開催、機関誌・図書の発行、社会保障に関する調査などを行った。

I.総会・学術講演会事業

第120回総会・学術講演会を令和元年5月8日~11日大阪市・大阪国際会議場において黒野祐一会長のもとに開催し、会員の業績発表、特別講演および下記の宿題報告などを行った。

宿題報告

  1. 鼻副鼻腔炎症病態の制御に向けた免疫薬理学的アプローチ
    川内 秀之 (島根大教授)
  2. 頭頸部がんの最適化医療 ―根治とQOLの両立を目指して―
    丹生 健一 (神戸大教授)
  3. 超高齢社会におけるめまいと平衡障害への対応
    肥塚 泉 (聖マリアンナ医大教授)

II.調査および研究事業

  1. 耳鼻咽喉科医療に関する全国調査の通常調査および基礎的調査を行った。
  2. 平成30年に実施した耳鼻咽喉科医療に関する全国調査(基礎的調査)の結果を第120回日耳鼻総会において小冊子として配布し、学会会場内にパネル展示した。また、日耳鼻会員マイペ ージでも公表した。
  3. 耳鼻咽喉科学とその専門領域に関わる問題の調査・集計を行った。
  4. 平成30年度3歳児健診における聴覚検査および1歳6カ月児健診における聞こえの確認方法に関する実態調査を行い、その結果を冊子にまとめ全国会議で配布した。

III.広報事業

  1. 第65回「耳の日」および第59回「鼻の日」を運営し、ポスターを作成・配布するとともに、「耳の日」「鼻の日」の実施報告書を作成した。また、各地方部会の「耳の日」の行事企画およびその報告書をホームページに掲載するなどした。
  2. 耳鼻咽喉科の啓発および学会情報提供等のためカレンダーを制作し、会員に配布した。また、発送作業軽減と経費節減を目的として、2021年からコンパクトかつ安価な中綴じカレンダーに試行的に変更することとし、仕様等を検討した。
  3. ホームページの掲載事項について定期的に更新を行い、内容を充実させた。
  4. 耳鼻咽喉科学領域の重要性を国民にアピールするために、「Hear well, Enjoy life. ―快聴で人生を楽しく―」および「舌がん・口腔がん -何科を受診すればいいの?-」のオウンドメディアサイトの内容を充実させ啓発活動を行った。また、「健康寿命への挑戦 -機能を守る耳鼻咽喉科-」のオウンドメディアサイトを立ち上げることとし、掲載内容について検討した。
  5. 「耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を目指そう」パンフレットを増刷し、各医育機関に配布した。
  6. ホームページの「子どものみみ・はな・のどの病気Q&A」 を改定し更新した。
  7. 日本での人工内耳手術件数の推移について、ホームページの掲載文書および図表を更新した。
  8. 学術委員会の新型コロナ感染症対策WGが作成した新型コロナウイルスへの対応方針等をホームページに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 情報」として掲載し、会員・医療関係者および一般に向けて情報提供を行うとともに、随時更新した。

IV.研究会および学術講演会等事業

  1. 第120回学術講演会を黒野祐一会長のもとに、令和元年5月8日~11日大阪市で開催し、約4,000人が参加した。 宿題報告者川内秀之会員、丹生健一会員および肥塚泉会員に対し奨学金を贈呈した。
  2. 第33 回専門医講習会を藤枝重治実行委員長のもとに、令和元年11月16日・17 日名古屋市で開催し、約3,200人が参加した。
  3. 医学生、臨床研修医のためのセッションおよびハンズオンセミナーを第120回学術講演会で行い、専門医に対するハンズオンセミナーを第33回専門医講習会で行った。また、第45回夏期講習会で専攻医に対するビデオセミナーを行った。
  4. 第45回夏期講習会を令和元年7月6日・7日軽井沢町で開催した。
  5. 第17回嚥下障害講習会を平成31年4月7日東京都で開催した。
  6. 第45回全国身体障害者福祉医療講習会および第25回補聴器キーパーソン全国会議を令和元年6月1日・2日松江市で開催した。
  7. 第14回日耳鼻保険医療委員会全国協議会を令和元年9月15日東京都で開催した。
  8. 第24回産業・環境保健講習会(騒音性難聴の部)を令和2年1月23日・24日東京都で開催した。
  9. 令和元年度社会医療部関係全国会議を令和2年1月25日・26日東京都で開催した。
    (1)保険医療委員会ワークショップおよび全国会議
    (2)産業・環境保健委員会全国委員長会議
    (3)福祉医療・成人老年委員全国会議
    (4)福祉医療・乳幼児担当者全国会議
    (5)学校保健全国代表者会議ならびに学校保健研修会
    (6)医事問題委員会ワークショップおよび全国会議
  10. 第44回医事問題セミナーを令和元年6月22日・23日宮崎市で開催した。
  11. 各都道府県地方部会が学術講演会を開催した。
  12. 都道府県地方部会がブロックにおいて学術講演会を開催した。
  13. 各都道府県地方部会が耳鼻咽喉科学校医の研修会を開催した。
  14. 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、社会保険診療報酬改定の伝達会議を中止した。

V.専門医制度に関する事業

  1. 会員マイページによる専門医更新の申請を開始した。
  2. 2019年度専門医認定試験を令和元年8月2日・3日に東京都で行った。
    令和元年度専門医認定者数は、試験による者197名、認定更新された者1,906名であり、取り消し(逝去、退会、会費未納)は158名である。これにより令和2年3月31日現在の専門医総数は8,743名である。
  3. 専門医共通講習、耳鼻咽喉科領域講習、学術業績・診療以外の活動実績に該当する学術集会の審査を講習会主催者申請システムにより行った。
  4. 専門医認定更新のため、研修実績としての学術集会を調査・記録する作業を引き続いて行った。
  5. 新専門医制度における専門研修指導医100名を登録した。これにより令和2年3月31日現在の登録者数は1,862名である。
  6. 専門研修プログラム統括責任者・専門医制度委員会合同会議を令和2年1月25日東京都で開催した。
  7. 2020年度の専門研修プログラムの1次審査を行い、100のプログラムが日本専門医機構に認定された。

VI.学術誌および図書等刊行事業

  1. 会報の普通号11巻、総会号1巻(122巻4号)を刊行した。一回の発行部数は 11,400部である。
  2. 新任教授の自己紹介など会員に資する情報を掲載するなど、誌面の充実を図った。
  3. 投稿規定の改訂を行った。
  4. 「ANL Secondary Publication」コーナーにおいて、Auris Nasus Larynxに掲載された論文のうち、会員に有益と思われる論文の和文要旨を掲載した。
  5. J-STAGEおよびメディカルオンラインに日耳鼻会報掲載論文を掲載した。
  6. スキルアップ講座および専門医講習会テキストシリーズを会報に掲載した。
  7. 専門医通信を会報に掲載した。
  8. 英文誌(Auris Nasus Larynx)普通号6巻を刊行した。一回の発行部数は400部である。
  9. 英文誌購読会員の維持と管理を行った。

VII.社会保障に関する耳鼻咽喉科学的研究調査事業

  1. 耳鼻咽喉科保険医療実態調査を行った。
  2. 救急診療等に関するアンケートおよび在宅医療等に関するアンケートを行った。
  3. 関連する学会が作成した診療ガイドライン等の評価を行った。
  4. 日耳鼻補聴器相談医制度の適切な運営を行い、相談医の委嘱を行うとともに、更新のための講習会を都道府県地方部会で開催する支援を行った。
  5. 騒音性難聴担当医名簿を作成し、ホームページに掲載した。
  6. ホームページ掲載の地方部会別補聴器相談医名簿を更新した。なお、認定数は 4, 426 名である。
  7. 騒音性難聴担当医の地域産業保健センターおよび産業保健総合支援センターへの登録促進を行った。
  8. 厚生労働省労災疾病臨床研究事業を受託した。
  9. 「騒音性難聴に関わるすべての人のためのQ&A」を発行し、全国の産業保健センターに配布した。
  10. 補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)および補聴器販売に関する禁忌8項目に係る全国調査を行った。
  11. 補聴器相談医講習会開催に関する地方部会実態調査を行った。
  12. 人工内耳手術報告書をデータ化した。
  13. 「新生児聴覚スクリーニング後の聴力検査機関リスト」の改定に向け、地方部会長から推薦された新生児聴覚スクリーニング後・乳幼児健診後の二次聴力検査機関および精密聴力検査機関を対象に、新生児聴覚スクリーニング後の聴力検査機関実態調査を行った。同時に1歳児および2歳児に関する聴力検査機関実態調査も行った。
  14. 令和元年度「耳鼻咽喉科学校保健の動向」を刊行した。
  15. 日本医師会および日本学校保健会の学校保健関連事業に参加した。
  16. 耳鼻咽喉科健康診断の全国定点調査を行った。
  17. 耳鼻咽喉科健康教育に関する調査を行った。
  18. 「就学時健康診断」と「教育支援委員会(仮称)」に関わる調査を行った。
  19. 医事問題に関し調査・研究を行い、「医事紛争とその問題点」35巻および「令和元年度医療事故に関するアンケート調査結果」を刊行し、会員に周知した。
  20. 厚生労働省、国立身体障害者リハビリテーションセンター主催の「補聴器適合判定医師研修会」(令和元年7月17日)および「音声言語機能等判定医師研修会」(令和元年12月11日) に講師を派遣するなど協力した。

VIII.関連学術団体等との協力事業

  1. 第53回日耳鼻・関連する学会会議(令和元年5月9日 大阪市)および第54回日耳鼻・関連する学会会議(令和元年11月17日 名古屋市)を開催した。
  2. 平成30年に実施した全国の耳鼻咽喉科診療所を対象とした「言語聴覚士雇用の実態調査」の集計・解析を行った。
  3. 令和元年度「検体採取等に関する厚生労働省指定講習会」および「耳鼻科領域検査啓発講習会」(日本臨床衛生検査技師会主催)へ講師を派遣した。
  4. 令和元年度「認定言語聴覚士講習会(摂食嚥下障害領域、成人発声発語障害領域)」へ講師を派遣した。
  5. 日本学術会議、日本医学会連合、日本専門医機構ならびに日本学術協力財団の事業に協力した。
  6. 日本医師会医療保険関連委員会に委員を派遣し、日本医師会の業務に協力した。
  7. 国立国際医療研究センターおよび医薬品医療機器総合機構の事業に協力した。
  8. 外科系学会社会保険医療委員会連合(外保連)の事業に協力した。なお、新たに設けられたAI診療作業部会に委員を派遣した。
  9. 内科系学会社会保険連合会への加盟申請をし、加盟が承認された。
  10. 「リスクアセスメントに基づく騒音障害防止対策」について、第92回日本産業衛生学会第20 回騒音障害防止研究会のパネルディスカッションで講演した。
  11. 「補聴器販売者の技能向上研修等事業」の委員推薦を行った。
  12. 予防接種に関連する団体と共に「がん教育推進のための教材」へのワクチンによるがん予防の記載に向けた要望書提出に協力した。
  13. 令和元年9月19日(木曜日)全日本ろうあ連盟の訪問を受け、意見交換を行った。
  14. 難聴対策推進議員連盟の小児期に関しての中間提言に対し、意見を提出した。
  15. 耳鼻咽喉科学に関連する学会と緊密な連絡をはかり、情報の収集、共通の問題について検討した。
  16. 地域における耳鼻咽喉科医療を推進、充実するため、学会・医会協議会を令和元年11月17 日名古屋市で、また第1回学会・医会連携会議を令和2年1月26日東京都で開催した。
  17. 日本歯科医師会主催の「嚥下機能評価研修会~嚥下内視鏡検査実習~」に講師を派遣するなど協力した。
  18. 日本歯科医師会と嚥下障害診療などについて協議を行い、「摂食嚥下障害診療における耳鼻咽喉科と歯科との連携」に関する提言を策定した。

IX.国際的な研究協力推進事業

  1. 諸外国の耳鼻咽喉科学会および関連学会との連絡にあたった。
  2. 国際耳鼻咽喉科学会連合(IFOS)の関連事業に協力した。
  3. The 2019 AAO-HNSF Annual Meeting(2019年9月15日~18日、ニューオーリンズ)に関して、座長および3名の演者が参加し講演を行った。
  4. 台湾耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会(2019年11月2日~3日、高雄)に関して、演者を推薦するなど協力した。
  5. 第15回日台耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会(2019年 12月6~7日、福岡)に関して、代表者を派遣するなど協力した。
  6. 10th Emirates Otorhinolaryngology Audiology and Communication Disorders Congress (2020年1月15~17日、ドバイ)に関して、演者を推薦するなど協力した。
  7. International Congress of ORL-HNS 2020(2020年4月16~19日、ソウル)に関して、韓国耳鼻咽喉科学会に若手医師を推薦するなど協力した。
  8. 公益財団法人国際耳鼻咽喉科学振興会(SPIO)の事業に協力した。

X.IFOS世界会議誘致事業

  1. 2025年IFOS世界会議の誘致活動として、IFOS事務局へBid paperを提出した。

XI.会議およびその他

  1. 令和元年度定時社員総会を令和元年5月8日(水曜日)大阪市・大阪国際会議場において開催した。
  2. 理事会を平成31年4月から令和2年3月まで11回開催した。
  3. 会員情報新システムによる会員年会費および地方部会費徴収を開始した。
  4. 日耳鼻研究奨励賞を創設し、2名の受賞者を決定した。受賞者辻川敬裕会員、和佐野浩一郎会員に対し奨学金を贈呈した。
  5. 医育機関代表者・都道府県地方部会長合同会議を令和元年5月8日大阪市で開催した。
  6. 都道府県地方部会長会議を令和元年11月16日名古屋市で開催した。
  7. 準会員加入促進のための定款施行細則の見直しを行った。
  8. 利益相反について周知と管理を行った。
  9. 日耳鼻利益相反に関する指針および指針細則ならびに会報著者におけるCOI申告書の改定を行った。
  10. 平成30年度に実施した女性医師アンケートの集計を行い、第120回日耳鼻総会・学術講演会およびホームページで結果を公表した。
  11. 平成30年度に実施した日耳鼻・関連する学会における「男女共同参画」に関するアンケート調査を集計し、結果をホームページで公開した。
  12. 第120回日耳鼻総会・学術講演会において、シンポジウム「耳鼻咽喉科医として働く女と男の本音と建て前」の講演を行うとともに、日本医師会共催による「耳鼻咽喉科男女共同キャリア支援懇談会」を開催した。
  13. 関連する学会の男女共同参画支援および各大学における育児支援、講演会等の情報提供を行った。
  14. 厚生労働省の診断群分類案作成調査研究班に協力した。
  15. シダキュア®スギ花粉舌下錠の不採算品再算定に関わる要望書、舌下神経電気刺激装置の保険償還の要望書、およびデュピルマブの在宅自己注射保険適用の要望書を厚生労働省に提出した。
  16. 騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について厚生労働省に要望した。
  17. 補装具支給基準改定のための提案書を厚生労働省へ提出した。
  18. 医賠責審査会と連携をとり、医事紛争の合理的解決に努めた。
  19. 日本医療安全調査機構の調査分析事業に参画した。統括責任者ならびに8ブロックの推薦担当窓口を更新した。
  20. 労働衛生における聴覚管理に関する事業に協力した。
  21. 医療事故に関連して開催が推進される大学病院・基幹病院の事故調査委員会に外部委員を推薦するなど協力した。
  22. 医療事故データーベースに検索機能を追加した。
  23. 医療事故や医療トラブルの防止、不適切診療への対策など、日本医師会と連携し推進した。
  24. 勤務医師賠償責任保険制度等の適正な運営を行った。
  25. 耳鼻咽喉科学に関する諸問題について関係省庁や日本医師会と連携した。
  26. 医会の全国組織である全国耳鼻咽喉科医会が令和元年11月17日設立された。
2020年6月16日掲載