一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

学会からのお知らせ

「重心動揺計の機器精度に関する注意事項」について

重心動揺計の機器精度に関する注意事項

 重心動揺計は、臨床検査のための機器として1987年に医療機器としてのJIS規格が認められ、1988年に日本めまい平衡医学会で、重心動揺計検査法の基準が定められて学会認定の臨床検査となりました。また、重心動揺計検査は、日本耳鼻咽喉科学会の働きによって1996年に平衡機能検査の一項目として診療報酬臨床検査に採用されています。その後耳鼻咽喉科他一般臨床でめまい・平衡機能評価検査として広く施行されるようになっています。
 一般に臨床検査機器は、検査精度が極めて重要であり、データの不正は、誤診・誤判断に繋がる可能性があります。重心動揺計の場合も検査器機精度が検査結果に大きな影響を与えることから、検査機器の精度を維持することは、法的に使用者責任になっています。言い換えれば、その管理状況によっては検査による誤判断をする危険性を持っていることを常に念頭に置いて器機管理する必要があります。
 この度、重心動揺計の精度に関する日本めまい平衡医学会の調査結果で下記に示す問題点のあることが判明した報告がありましたので日本耳鼻咽喉科学会会員にも通知します。

報告事項

○重心動揺計の精度に関する現状の問題点

  1. 重心動揺計について、説明書に記載されている頻度での校正、整備が行われていない場合があります。
  2. 重心動揺計の校正、整備が不十分な場合、精度が大きく外れる器機が認められ、計測値が正確に出力されない場合があり、使用者が誤判断(誤診)する可能性があります。

 以上の状況から、下記のように適切な重心動揺計の機器管理に十分留意した上で、適正な重心動揺検査による検査・診療・研究が実施されるようお願いします。

○適切な重心動揺計検査についての留意点

  1. 重心動揺計検査に使用する検査機器は、日本めまい平衡医学会が登録したJIS規格(参考参照)に合致した重心動揺計の使用を推薦します。機器導入時に確実に確認する必要があります(JIS規格外の製品がある)。
  2. 重心動揺計の取扱説明を熟知し、検査機器管理について十分注意し、機器メーカーと連携し、定期的な機器校正を行ってください。使用者責任にて検査精度の維持が必要です。
  3. 重心動揺計検査については、日本めまい平衡医学会(一般社団法人日本めまい平衡医学会)編“「イラスト」めまいの検査”を参照の上、適切に施行してください。

参考:重心動揺計のJIS抜粋(日本工業規格JIS 重心動揺計 T1190-1987)
重心動揺計は、JIS製品であれば、規格上、10Kg-150Kgまでの重量負荷で直線的に位置表ができる。位置精度の誤差は±1mm以内。自由振動周波数は20Hz以上。自由振動周波数は、パワースペクトル解析で10Hzまでの解析精度を得るために決められた。
 重心動揺計は、精度の高い検査機器であることを知り、JIS規格の重要性を認識していただきたい。
 精度の確認には、購入販売店または製造メーカーにお問い合せください。

 ご質問・不明な点については、日本めまい平衡医学会事務局宛(E-mail:office@memai.jp)にご連絡ください。

2014年2月4日掲載