一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

重要なお知らせ

指定難病患者診療のお願い

 一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会は、病院のみならず診療所の先生達も指定医になり、同時に指定医療機関を申請していただき、指定難病の患者さん達の診療に積極的に参加されることを推奨しております。そこで指定難病について少し解説してみたいと思います。

1)指定難病とは

 「難病の患者に対する医療等に関する法律」が平成27年1月1日より施行されております。これまでの特定疾患治療研究事業で行われていた医療費助成が、法律に基づく制度として規定され、対象となる疾病や患者負担についても、新たに定められました。都道府県知事が指定する医療機関で行われた医療(特定医療)に対して医療費補助(特定医療費)が支給されます。

2)指定難病対象疾患

 現在、医療費助成の対象となる指定難病は306疾病で、耳鼻咽喉科関連研究班から資料が提出された4疾病(アッシャー症候群、若年発症型両側性感音難聴、遅発性内リンパ水腫、好酸球性副鼻腔炎)が含まれています。平成29年4月1日からはさらに24疾患が追加され、計330疾病が指定難病となります。指定難病の中には耳鼻咽喉科に関連する疾患として、神経線維腫症、IgG4関連疾患、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、シェーグレン症候群、再発性多発軟骨炎、チャージ症候群、オスラー病など多数含まれております。よって耳鼻咽喉科医師が実際に診断書作成や診療に携わる機会が多く存在します。患者が指定難病に認定されるためには、難病指定医が作成した臨床調査個人票を最寄りの保健所に提出する必要があります。

3)指定難病患者の医療助成

 指定難病に認定された患者は、指定医療機関での難病に対する治療費のほか、薬局での保険調剤、訪問看護、介護保険の医療系サービス等にかかった費用についても助成の対象となります。保険診療による自己負担額は3割から2割となります。しかし所得に応じた自己負担限度額(月額最高3万円)が設定されており、外来費用のみならず入院費用も適応となり、それを超える負担はありません。指定難病患者は申請した指定医療機関での診療のみが助成の対象となります。そのため、例えば指定難病患者は指定医療機関の病院での検査や手術代は医療助成をうけられますが、その後の治療を指定医療機関ではない診療所でうける場合、医療助成を受けられない事になります

4)難病指定医になるには

 指定医制度において、指定医は難病指定医と協力難病指定医に分けられます。難病指定医は厚生労働大臣が定める認定機関が認定する関係学会専門医の資格がある者などの条件があります。よって耳鼻咽喉科専門医の先生はすべてその資格を有します。指定医の義務としては、指定難病患者が指定難病にかかっていること及びその病状の程度を証する臨床調査個人票(難病指定医は新規及び更新用、協力難病指定医は更新用)の作製を行う必要があります。申請手続きとして、各地方自治体の指定医担当課に必要書類(申請書兼経歴書、医師免許証の写し、専門医を証明する書類の写し)を提出する必要があります。

5)指定医療機関になるには

 健康保険法に規定する保険医療機関である病院叉は診療所であることなどの要件があります。各地方の厚生局に申請する必要があります。

 この指定難病を良く理解すると同時に、診療所においても指定医ならびに指定医療機関に認定していただき、指定難病患者が医療助成を受けられる体制を整えていただけるよう希望致します。

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
理事長 森山  寛
総務部 広報委会
担当理事 飯野ゆき子
委員長 北野 博也

2017年3月31日掲載