一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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一般の皆さん向け新型コロナウイルス感染症(COVID-19)お知らせ

新型コロナウイルス感染症についての耳鼻咽喉科Q&A

Q1.どのようにして感染しますか。
おもに、①飛沫(ひまつ)感染、②接触感染によると考えられています。
①飛沫感染とは?
感染している人のせきやくしゃみで空気中に飛散したウイルスを含んだ浮遊物を吸い込んで感染することです。
②接触感染とは?
ウイルスが付いた物や場所(ドアの取っ手、電車・バスのつり革、手すり、タオルなど)をさわるとウイルスが手に付着します。ウイルスが付着したまま、口や鼻をさわる、眼をこする、ことにより口や鼻、眼の粘膜から感染することです。
Q2.どのような症状や経過ですか。どんな場合に重症化しやすいですか。
5人に4人は症状が軽く、自然治癒すると報告されています。一般に倦怠感や発熱、せき、たん、息苦しさなどの呼吸器症状が1週間ほど続き、改善、増悪を繰り返します。においや味がわからなることも多く、腹痛や下痢を生じるなど、症状はいろいろです。高齢の方や基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)を持っている方は、重症化することがあります。このような方は、普段から感染しないように外出を控え、外から戻ったら、石鹸で手洗いをすることが大切です。
Q3.症状が出たらどのように対処したら良いでしょうか。
4日以上続く37.5℃以上の発熱や、せき、息苦しさ、だるさがあれば、近くの帰国者・接触者相談センターに相談してください。厚生労働省のホームページからも情報を得ることができます。今後、この基準が変更されていくことが予想されますので、各自で確認してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html
急ににおいや味がわからなくなった場合、発熱、せき、たん、息苦しさなどがなければ、すぐには医院や病院を受診せず、外出を控え、自宅で2週間ほど安静に過ごしてください。においや味は自然に改善することもあります。
厚生労働省から「家庭内で注意いただきたいこと~8つのポイント~」という説明文が公表されていますので、参考にしてください。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
Q4.治療はどのように行いますか。また、その効果は。
まだ、新型コロナウイルスに対しての抗ウイルス薬やワクチンなどの特効薬はありません。現時点では特別な治療法はなく、自分の免疫力でウイルス感染を抑えるしかありません。インフルエンザやエイズ、エボラ出血熱、喘息薬が使われることがありますが、有効性は証明されていません。また、薬には副作用のリスクがあり、期待される効果がリスクを上回る場合にのみ使用されます。呼吸困難が生じた時は血中酸素濃度を測定し、酸素吸入を開始、それでも酸素濃度が低下すれば、人工呼吸器を装着することがあります。発熱に対しては、カロナール®(アセトアミノフェン)などの解熱・鎮痛薬が投与されます。
Q5.耳鼻咽喉科の診察で感染することはありませんか。
外来の待合室では、患者さん同士でウイルスが感染しないように、間隔をあけて座ってもらう、室内の換気を頻回に行うなどの対応を行っています。また、感染が疑わしい患者さんは別の待合室や自動車の中で待機してもらい、施設への入り口を分けている医院や病院もあります。耳鼻咽喉科では、耳や鼻、のどの診察や検査、処置を行いますが、使用する器具はその都度、交換、消毒していますので、診察や検査、処置によって、患者さんが感染することはありません。医療者から患者さんに感染させないようにマスクをして診察します。また、万が一、前の患者さんのウイルスが手に付くことがあっても、ひとり診察するごとに手指消毒を徹底して行っていますので、大丈夫です。口やのど、鼻の中を診察、検査、処置する場合は、手袋やフェイスガード、ゴーグル、ガウンなどを装着します。また、院内での滞在時間をできるだけ短くする配慮も行われています。このように、他の患者さんに医療従事者を介して、感染させることがないように細心の注意を払っています。
Q6.耳鼻咽喉科で「ネブライザーは中止しています」と言われました。ネブライザーでうつるのですか。
ウイルスに感染している患者さんが、自分が感染していることを知らずにネブライザーをした場合、ネブライザーにむせてせき込んだ時にウイルスが飛散し、周囲の人を感染させることがあります。そのため感染が拡大している地域では、ネブライザーを中止している医院や病院があります。
Q7.耳鼻咽喉科の手術は今まで通り安全に受けることができますか。
手術で使用する機器は滅菌、消毒していますので、手術を受ける患者さんに感染することはありません。ご安心ください。症状がなく自分が感染していることを知らずに手術を受けると新型コロナウイルスによる肺炎をおこし、重症化し、場合によっては命を落とすことが報告され問題になっています。このため、急ぐ必要のない手術は新型コロナ感染が収束するまで控えている施設が多いです。急がないと生命の危険がある手術、あるいは重い後遺症が残る病気に対しては、患者さんがウイルスに感染していないかどうかをPCRや胸部CTなどで確認し、その結果に応じた感染予防対策を行って手術をしています。患者さんの感染に気付かないまま手術をすると、医師や看護師などの医療従事者にウイルスが感染し、ひいては院内感染を誘発して、他の病気の方々の診察や治療ができなくなります。中国やイタリアでは手術を行った医師や看護師が感染し、死亡したという報告があります。病院では感染予防対策を徹底するとともに、手術を受けられる患者さんにも入院前に感染しないようにご注意いただいております。患者さんと医療従事者、お互いにとって、安全で安心な手術となるよう取り組んでいます。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐためのお願い
感染が拡大している地域においては三密(密閉、密集、密着)を避けることが最も大切です。また、新型コロナウイルス感染の蔓延により医療崩壊が起き、新型コロナ感染症以外の救える命を助けることができなくなります。そうならないように、このQ&Aがお役に立つことを願っています。皆さまのご理解・ご協力をお願いいたします。

2020年4月30日
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

Last update: 2020年4月30日
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