口内炎、口の中の違和感、お悩みの方は耳鼻咽喉科へ

口腔がんの治療はどのように行われますか?

口腔がんの治療はどのように行われますか?

中心となるのはがんを手術で取り除く治療

口腔がんの場合、ほかのがんに比べて、抗がん剤による化学療法や放射線治療が効きにくいという特徴があるため、治療は手術(外科的切除)が中心になります。病期(ステージ)や患者さんの年齢、全身の健康状態などによっては、化学療法や放射線治療が検討されることもあります。また、手術でがんが完全に取りきれなかった場合や、再発のリスクが高い場合には、「術後補助療法」として放射線療法が追加されることもあり、必要に応じて化学療法も併せて行います。
外科的切除では、がんを完全に取り除くことが目標となりますが、がんが小さいうちなら部分切除で済みます。しかし、がんが広範囲に及んでいる場合は当然ながら切除する範囲も大きくなります。状況によっては頸部リンパ節も合わせて切除する必要も生じます。

手術の後遺症への対処も必要

口腔がんの場合、がんがまだ小さく部分切除で済んだ場合には大きな後遺症が残らないこともありますが、切除する範囲が大きければ大きいほど、人間が生きていく上でとても重要な、さまざまな機能に影響が及ぶことになります。
進行した舌がんの手術によって、舌の広い範囲を切除した場合などは、患者さん自身の太ももやおなか、腕などから採取した皮膚や筋肉などの組織を移植して、切除した部分の再建手術も併せて行います。ただし、会話機能や、ものを食べたり、飲み込んだりといった嚥下機能に悪影響が出ることはどうしても避けられません。
再建手術を行った場合はもちろん、切除した範囲が小さくても口腔の機能の低下が見られる場合には、それらの機能を回復させるためのリハビリテーションも行われます。

口腔がん治療は耳鼻咽喉科医中心のチームで

口腔がんの治療は主としての外科的治療に加え、化学療法、放射線療法や再建手術も視野に入れる必要があります。さらに、術後のリハビリテーションや治療後の生活のフォローアップも重要です。このような口腔がんの治療には頭頸部全領域に関する専門的知識や全身的な医学的知識に加え、長期的な戦略も必要不可欠となります。また、患者さんの家族や家庭の状況、社会的な背景も考慮した、さまざまな面からのアプローチも必要です。
つまり、口腔がんはたとえ早期がんであっても、全身疾患と考えるべきであり、医師である耳鼻咽喉科医・頭頸部外科医が中心になって、それぞれの専門知識をもった形成外科医、腫瘍内科医、放射線科医、歯科医、理学療法士や言語聴覚士、看護師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなどと多職種チームを形成して、互いに連携しあいながら患者さんの治療にあたることが非常に重要になるのです。