委員会からのお知らせ
新型コロナウイルス感染症の現状を踏まえた児童生徒等の耳鼻咽喉科健康診断実施に係る対応について(続報)
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが加速し、国内においても関東や関西を中心として感染者数が激増している中、3月初めから休校となっていた学校においては4月からの授業再開を見込んでいますが、いまだ予断は許さない状況です。
新年度4月からの児童生徒等の定期健康診断の予定は、ほとんどの地域ですでに決まっていると思われますが、現在の状況から、その実施について困惑されている地域も多いことと推察します。
そこで、耳鼻咽喉科学校健診の実施について、3月19日の文部科学省からの事務連絡をふまえ、健診実施の時期、実施方法などにつき、日耳鼻学校保健委員会の考え方を呈示させていただきます。
皆様におかれましては、今回の呈示も参考とされ、各地域の教育委員会、医師会および担当校と十分にご協議、ご相談いただき、それぞれの地域の現状に見合った対応をお取りいただきますようお願い申し上げます。
児童生徒の健康診断実施に係る対応について(令和2年3月19日 文部科学省)
- 児童生徒等の定期の健康診断(学校保健安全法第13条第1項)の実施については、毎学年、6月30日までに実施することとなっているが、新型コロナウイルス感染症の影響により実施体制が整わない等、やむを得ない事由によって当該期日までに健康診断を実施することができない場合は、当該年度末までの間に、可能な限りすみやかに実施すること。
- 児童生徒の健康診断実施を延期する場合は、特に、日常的な健康観察等による児童生徒等の健康状態の把握に一層努め、健康上に問題があると認められる場合は、健康相談や保健指導等を実施し、適切に支援すること。
耳鼻咽喉科学校健診を例年通り実施するか、延期するかの判断
授業再開が近づき、健診予定が迫る中、全国的には感染拡大の予防という観点から、すでに児童生徒の学校健診を秋以降に延期した地域もありますし、現在協議中の地域もあります。感染症の状況に注意しながら、各地域の教育委員会、医師会や医会の方針、そして学校の都合も考慮の上、関係者間で密に連絡を取り、予定通り実施するか、延期するかをご検討いただきますようお願い申し上げます。
延期すると判断した場合は、文部科学省からの通知にあるように来年度末までの間に、可能な限りすみやかに実施することとされています。
耳鼻咽喉科学校健診を実施する際の留意事項
文部科学省事務次官通知(令和2年3月24日)において、接触・飛沫による感染リスク低減のための3つの条件が周知されました。
- 換気の悪い密閉空間にしないための換気の徹底。
- 多くの人が手の届く距離に集まらないための配慮。
- 近距離での会話や大声での発声をできるだけ控える。
更に咳エチケットや手洗いなどの基本的な感染症対策も徹底したうえで学校健診に望む必要があります。以下に留意事項を示しますが、これはあくまでも一つの提案であり、各地域の現状を踏まえ、事前の準備と学校健診当日の然るべき対応をお願いします。
- 学校と児童生徒に関して
児童生徒が新型コロナウイルスの無症候性感染者であることは否定できないため、以下の点に留意してください。
1) 事前に保健調査票を記載し、当日の朝には体温チェックを行う。
2) 当日、発熱や体調不良の児童生徒については、後日何らかの方法で個別に保健指導する。
3) 健診の場所の換気を十分に行い、同時に多人数を入れないように配慮する。
4) 健診の場で待機中は会話を慎み、マスクの着用を奨励する。 - 健診医に関して
1) 健診当日の体調チェックを徹底する。
2) 健診の際、飛沫感染予防のためにメガネ(ゴーグル)とマスク、あるいはフェイスシールド等を着用する。
3) 耳鼻咽喉科学校健診では児童生徒との接触が不可避であり、可能な限り手指消毒あるいは手洗いを心がける。
4) 健診行為による児童生徒間の接触感染予防に十分留意する。
5) 特に音声言語障害検診に関してはエアロゾル感染誘発の可能性が否定できないことから、問診で指摘された児童生徒のみ行う等の対応を検討する。
日耳鼻学校保健委員会からのお願い
新型コロナウイルス感染症は、世界でも国内でも刻々と状況が変化している状態です。4月から学校健診を予定されている地域が多いと思いますが、健診時期については地域の感染状況などを考慮し、地域の教育委員会、医師会、医会、学校現場とよく協議して決定していただきたいと思います。また健診を実施する際には、今回提示した留意事項を参考とし、感染の予防に努めながら実施していただきますようお願い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症という、稀にみる事態に直面しておりますが、全国各地域で耳鼻咽喉科学校健診がスムーズに実施されることを願っております。学校健診は来年度末までに実施すればよいと文部科学省から通知されている以上、実施体制が整わない状況下での学校健診実施は控え、延期する方針もお考えください。
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
学校保健委員会