一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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医学生・研修医の皆さん

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診療領域

様々な機能が絡み合う部位の治療には専門的な知識と技能が求められます。顕微鏡や内視鏡を駆使して行われる耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の手術の繊細さと美しさはまさしくアートの世界を見ているようであり、その成功は失われた機能回復という福音を患者さんにもたらします。また、頭頸部腫瘍の治療では多職種で構成されるチーム医療が行われますが、我々はその中心としてタクトを振ることとなります。
手術療法、放射線療法、化学療法を駆使した集学的治療の成否が患者さんの生命予後と治療後の生活の質を左右します。命を守り、機能を守るという医療は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科に連綿と続く伝統であり、我々は早くからこの点を重視した治療を行ってきた専門家集団です。耳鼻咽喉科・頭頸部外科が持つこの多様性は、男性医師・女性医師を問わず、意欲ある皆さんに多くの活躍の場を提供します。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科で扱う感覚と機能

広がる可能性の中で、広く深く医療を追求する

最新の耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診療

範囲が広く扱う疾患も多岐にわたる耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、QOLと密接に絡む医療分野で、耳科学・鼻科学・口腔咽頭科学・喉頭科学など、各専門的な分野で様々な研究が進んでいます。

難聴の遺伝子診断と再生医療、人工聴覚器

分子遺伝学の発達によって先天性難聴の60~70%以上に遺伝子が関与していることが明らかとなっています。難聴の遺伝子診断は保険医療となり、日常の難聴医療を大きく変化させています。遺伝子導入やiPS細胞による聴覚の再生も進んでいます。また一方では人工聴覚器の開発が進んで聞き取りが良くなっており、今後さらに難聴医療が変貌を遂げようとしています。

経口的ロボット支援手術(TORS)

経口的ロボット支援手術は、安全で有効な治療法として世界中に急激に広まっています。日本でも泌尿器科などの病気に対しては手術支援ロボットを用いた手術が普及し、その安全性が確認されています。日本国内でも咽頭がんに対する経口的ロボット支援手術の導入が検討され、低侵襲でQOLの高い頭頸部がん治療が広まろうとしています。

免疫療法の進歩(がん・アレルギー)

近年、自然免疫と獲得免疫のメカニズムが詳しくわかるようになり、免疫制御による疾患治療が進んできました。耳鼻咽喉科領域ではスギ花粉症に対する舌下アレルゲン免疫療法が臨床応用され、頭頸部外科領域では我が国で開発された抗PD-1抗体による悪性黒色腫治療が始まりました。これに続く多数の免疫チェックポイント阻害剤によるグローバルスタディは第4のがん治療を作り出すと期待されています。

光免疫療法

光免疫療法は、米国国立衛生研究所の小林久隆博士らにより開発された光を利用した新しいがん治療法です。腫瘍に集積する光感受性薬剤を静脈投与した後に、腫瘍に光を照射する事で薬剤を活性化し治療を行います。本邦において切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌に対して条件付で保険承認され実臨床で用いられています。周囲の正常組織の損傷を最小限にとどめ、がん細胞のみを選択的に破壊することができると期待されています。

経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)

近年普及している経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)は耳の穴から内視鏡だけで行う新しい治療法です。従来の顕微鏡手術では難しかった部位の手術も、内視鏡手術では死角がなくなり病変の遺残や再発も減少し、痛みや合併症も減少しました。2022年にはこの術式が保険収載され、益々普及しています。

Last update: 2023年3月31日
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