一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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委員会からのお知らせ

新型コロナウイルス感染症の現状を踏まえた児童生徒等の耳鼻咽喉科健康診断実施に係る対応について(令和5年度)

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、学校教育活動に過度な制限を設けることは児童生徒の発育・発達を妨げる要因となっています。2月10日、厚生労働省より「マスク着用の考え方の見直し」について事務連絡が発出され、学校教育活動の実施に当たってはマスクの着用を求めないことを基本とすること、学校におけるマスク着用の考え方の見直しは4月1日から適用することが通知されました。
 これは4月以降の学校教育活動の平常化に向けた大きな転機になると思われますが、令和5年2月8日、文部科学省からの事務連絡「学校保健安全法に基づく児童生徒等の健康診断の実施等に係る対応」では、昨年と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響により実施体制が整わない等、やむを得ない事由によって当該期日までに健康診断を実施することができない場合は、当該年度末までの間に、可能な限りすみやかに実施することが通知されました。

【耳鼻咽喉科健康診断の実際について】

 耳鼻咽喉科健康診断では学校医の手指と児童生徒の耳・鼻の直接接触は避けられず、特に口腔咽頭検査・音声言語検診の実施については飛沫感染誘発の可能性が否定できません。しかし感染が大きく拡大している場合を除き、学校健診時に児童生徒にマスク着用を強いることは厚生労働省の方針に反することになり、現場の混乱を招く恐れがあります。そのため耳鼻咽喉科健康診断を実施する医師は、飛沫感染予防のためにメガネ(ゴーグル)とマスク、あるいはフェイスシールド等を着用することを推奨します。また医師の手指を介した接触感染予防にもご留意ください。
 また健康診断の実施に当たっては基本的な感染対策は重要であり、引き続き「密閉」「密集」「密接」が同時に重ならないよう心がけ、令和5年度も以下の点に留意してください。

  1. 児童生徒および健康診断に関わる教職員全員が、事前の手洗いや咳エチケット等を徹底すること。
  2. 部屋の適切な換気に努めること。
  3. 密集しないよう、健康診断現場となる部屋には一度に多くの人数を入れないようにし、整列させる際にはできるだけ2m程度(最低1m)の間隔を開けること。
  4. 会話や発声を控えるよう児童生徒に徹底すること。
  5. 検査に必要な器具等は適切に消毒すること。
  6. 検査器具が人数分なく不足している地域では、可能な限り全員分の検査器具を確保すること。

 健康診断の実施時期の判断や実施の方法等については、担当校の校長・養護教諭、所轄の教育委員会、医師会などと十分連携し、共通理解を図っておくことが重要です。
 各地域で新型コロナウイルス感染症対策には差異が認められますので、耳鼻咽喉科健康診断を実施する際は、それぞれの地域の現状を見据えながら柔軟に対応していただきますようお願い申し上げます。

【学校保健安全法に基づく児童生徒等の健康診断の実施等に係る対応について(抜粋)】(令和5年2月8日 文部科学省 事務連絡)

1. 児童生徒等の定期の健康診断(学校保健安全法第13条第1項)の実施について

○令和5年度の健康診断について

 健康診断は、学校教育活動を行う上で、児童生徒等の健康状態を把握し、必要な措置を講じるという重要な役割を果たしていることから、早期に実施することが求められている。一方で、新型コロナウイルス感染症患者の診療対応等により、健康診断のための学校医の日程の確保が困難になるなど、地域によっては健康診断の実施体制が整わない等の状況も想定される。これらを踏まえ、健康診断については、新型コロナウイルス感染症の影響により実施体制が整わない等、やむを得ない事由によって当該期日までに健康診断を実施することができない場合は、当該年度末までの間に、可能な限りすみやかに実施すること。

2. その他の留意事項

 健康診断について実施を延期する場合は、特に、日常的な健康観察や保護者との情報の共有等による児童生徒等の健康状態の把握に一層努め、健康上に問題があると認められる場合は、健康相談や保健指導等を実施し、適切に支援すること。

【マスク着用の考え方の見直し等について(抜粋)】(令和5年2月10日 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部決定)

1. マスク着用の考え方の見直しについて

(1)見直しの概要

学校におけるマスク着用の考え方の見直しは4月1日から適用することとする。

(4)学校における対応

  • 学校教育活動の実施に当たっては、マスクの着用を求めないことを基本とする。
  • 併せて、下記を教育委員会・学校等に対して周知していくとともに、適切な対応を求めることとする。
    • 基礎疾患等の様々な事情により、感染不安を抱き、引き続きマスク着用を希望する児童生徒に対して適切に配慮するとともに、換気の確保等の必要な対策を講じること。
    • 地域や学校における新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの感染状況等に応じて、学校・職員が児童生徒に対して着用を促すことも考えられるが、そのような場合も含め、児童生徒や保護者等の主体的な判断が尊重されるよう、着脱を強いることがないようにすること。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 学校保健委員会
日本臨床耳鼻咽喉科医会 学校保健委員会

Last update: 2023年3月30日
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