一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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ごあいさつ

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
理事長 大森 孝一

 令和6年5月15日に開催された日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会理事会において、第19代理事長に選出されました。大変光栄なことと存じます。医学の発展と人材育成、安全な医療の提供や新しい医療の開発に努めてまいりますので、ご支援よろしくお願いいたします。
 本学会は1893(明治26)年に設立され、日本医学会連合に加盟する医学系学会としては最も長い131年の歴史を持ち、会員11,000名余を有する学術団体です。耳科学、鼻科学、咽頭喉頭科学、頭頸部外科学の研究と教育、医療と福祉を担っています。診療範囲が幅広く多岐に亘り、各々の専門性を高める必要性からこれまで多くの研究会や学会が発足し、現在関連する学会は15団体あります。また、令和2年4月に設立された日本臨床耳鼻咽喉科医会とともに、耳鼻咽喉科頭頸部外科の医療と福祉の充実や発展に全力で取り組んでおります。
 本学会が果たすべき役割は大きく二つあると考えています。一つ目は、専門的な医療を全国の皆様に等しく提供することと、二つ目は臨床に役立つ研究を推進し新しい医療を開発し実用化することです。これらを実現するためには、人材の育成が欠かせません。
 耳鼻咽喉科頭頸部外科は感覚器のエキスパート、気道救急や頭頸部がん診療など命を守るエキスパートとして活躍でき、豊富なサブスペシャルティがあることからアメリカではトップ3の人気診療科です。一方で、日本ではここ数年専攻医希望者が減少しています。先般のコロナ禍では、上気道疾患を扱うため甚大な影響を受けましたが、医学生の時期に実習で手術に参加できなかったことも影響していると考えられています。しかしながら、これからの超高齢社会を迎えるにあたって、感覚器障害や頭頸部がんは増加し、耳鼻咽喉科頭頸部外科の医療ニーズはますます多くなっていくと予想されます。今後は医師としてのやりがいとワークライフバランスを保って、耳鼻咽喉科頭頸部外科の魅力を伝えることが大切です。専攻医のリクルートと専門医の育成が喫緊の課題であり、全国で取り組んでいきます。
 耳鼻咽喉科頭頸部外科は聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚などの感覚器、聴覚や音声言語のコミュニケーション、摂食嚥下や呼吸などのQOLや生命維持、命に関わる気道救急や頭頸部がんの医療を担っています。現在の耳鼻咽喉科の診療体系は、耳、鼻、のどなど解剖学的に分類されていますが、これを、感覚器医療、コミュニケーション医療、QOLや生命維持の医療、頭頸部がん医療と機能的に体系化することで、さらに提供する医療の価値を高めることができると考えています。日本臨床耳鼻咽喉科医会と協働して診療体系を見直し、地方と都会それぞれに合ったモデルを作って横に展開していきます。とくに高齢者の難聴と認知症、めまい、嚥下障害などフレイル対策は重要です。
 二つ目の役割である臨床研究の推進と新しい医療の開発・実用化に関しては、オールジャパンプロジェクトとして、医学的シーズや社会的ニーズを発掘し、学会主導で研究を推進しその成果を社会に還元したいと考えています。また、会員が関わる科学研究費やAMEDなどへの支援や新しい医療の実用化における学会としての対応も行っていきます。
 複数の診療科が関係する領域は非常に大切で、めまい、顔面神経麻痺、アレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺癌、口腔癌などにおいて専門性の高い診療を提供し、プレゼンスを高めていきます。また、耳鼻咽喉科領域のリハビリテーションの普及にも力を入れていきます。これらの活動におきましては、関連する学会との連携強化と活性化、他科・他職種との連携が重要です。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 先般のコロナ禍は学会運営や学術集会の開催にも多大な影響を与えました。このような状況において診療や学会、学術集会の在り方を見直し、ポストコロナ時代の対応と改革が急がれます。遠隔医療やオンライン診療、AI診療支援、ビッグデータ解析、モバイルヘルスなどの医療DXへの対応も重要な課題です。
 会員の皆様には明るい耳鼻咽喉科頭頸部外科の未来のために、より一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

2024年7月16日掲載

Last update: 2024年7月16日
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