一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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重要なお知らせ

日・韓耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のMemorandum of Understanding(MOU)締結

 令和5年(2023年)11月19日、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(JORL-HNS)は韓国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(KORL-HNS)とMemorandum of Understanding(MOU:基本合意書)を交換しました。MOUは学術や人的交流を介して、学会間の発展を図るための基本的な合意書です。
 ご存知のように日本と韓国とは30年以上にわたり、Japan-Korea Joint Meeting of Otorhinolaryngology Head and Neck Surgery(JKJM)を通して学術ならびに人的交流を図ってきました。今回、改めて日韓の絆を深めることになりましたが、この背景にはJKJMの設立が両学会の公認でなかったことがあります。同様に台湾との間で開催しているJapan-Taiwan Conference on Otolaryngology-Head&Neck Surgeryも両国の学会がサポートしていますが、公認された学術集会ではありません。今回のMOU締結を機に、JKJMの歴史を振り返り、日・韓国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の新たな関係を築くことが大切です。

MOU 締結の経緯
 昨年2月に韓国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・学術委員会委員長のIn Seok Moon先生から、理事長のSe Heon Kim先生が日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会とMOUの締結を希望しているとの連絡をいただきました。In Seok Moon先生はご存知の方も多いかと思いますが、かつて私の親友であった故Wong Sang Lee教授の一番弟子で20年以上も前から親交があり、現在は延世大学耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座の教授を務めておられます。
 韓国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会らのMOU締結の申し入れに対して、早速、理事会に諮りましたが、日耳鼻の関連する学会において、すでに日本耳科学会が令和2年(2020年)10月に韓国耳科学会と、日本鼻科学会が令和5年(2023年)3月に韓国鼻科学会と、また、日本めまい平衡医学会も同年10月に韓国のBalance Societyと提携することになっていましたので、反対意見はなく承認されました。その後、In Seok Moon先生と欠畑誠治国際委員会理事とで、締結に向けての準備が進められました。それからしばらく経った7月12日、韓国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・国際委員会委員長のJae-Jin Song先生から、韓国の光州市で10月11日から開催されるCombined MeetingでMOUの調印式を行いたいと招待メールが届きました。ところが、丁度その時、小生は劇症型心筋炎で東京医科歯科大学のICUに入院中で、7月9日に心室細動で心停止を来し、心蔵マッサージで生還したものの、鎮静下に挿管された状態でした。5日後の14日に覚睡しSong先生のメールに気付きました。返事が2日も遅れていたので、取り急ぎ、お礼の返事と私の状況を報告し、体調が許す限り光州でのMOU調印式に出席したい旨を伝えました。そして、「貴方の招待メールが私を覚睡させてくれました。ありがとう。」と付け加えました。
 光州での調印式に出席したい旨を欠畑理事に伝えたところ、分かりました私が一緒に光州までお連れいたしますと心強い返事をいただきました。ところが光州はソウルから車でさらに4時間も離れた韓国西部にあることが分かり、小生の健康状態を考えるとかえって先方に迷惑を掛けることが危惧されました。
そこで、欠畑理事が上手に交渉し、11月に横浜で開催される第37回日本耳鼻咽科頭頸部外科学会秋季大会(香取幸夫大会長)でMOUの調印式を行うことになりました。

MOU調印式
 調印式は11月19日(日)の早朝8時から横浜のみなとみらい、パシフィコ横浜で執り行われました。韓国からは Se Heon Kim理事長、Sung Huhn Kim事務局長、Jae-Jin Song国際委員会委員長、そしてIn Seok Moon学術委員会委員長の4名が出席されました。また、日本からは、小生と大森孝一副理事長、丹生健一副理事長、山岨達也国際委員会理事、香取幸夫理事(第37回秋季大会大会長)、猪原秀典理事(第125回日耳鼻総会会長)、そして、日本で最初に第2回JKJMを主催された中井義明大阪市立大学(現大阪公立大学)名誉教授にも出席いただき、欠畑誠治理事が司会を務めました。
 調印式は、まず初めに小生とSe Heon Kim韓国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会理事長が契約書にサインし、MOU提携の意義を確認し、両学会の親交を誓いました。そして、小生がJKJMの歴史と功績、今後の両学会が目指すべき方向性について基調講演を行いました。その後、韓国のSe Heon Kim理事長からのご挨拶に続き、韓国のJae-Jin Song国際委員会委員長からは韓国の国際化に向けての取り組みを紹介いただき、最後に中井義明先生から祝辞をいただきました。50分の調印式でしたが、厳粛かつ和やかな雰囲気で終えることができました。早朝にもかかわらず、ご出席いただきました多くの会員の皆様に改めて感謝いたします。

JKJMの歴史と今後の展望
 Japan-Korea Joint Meeting of Otorhinolaryngology Head and Neck Surgery(JKJM)は1986年に発足しています。その20年前(1965年)に日本は第8回国際耳鼻咽科学会を開催しており、諸外国との学術的交流の機運が高まっていました。そのような状況の中、1985年に大阪市立大学耳鼻咽喉科の山本 馨教授と国立ソウル大学のHong Ki Kim教授が音頭を取り、日本から9人、韓国から14人の教授が韓国の済州島に参集し、学術交流の必要性について討論し、Joint Meetingを開催することが決まりました。これがJKJMの始まりで、2年毎に日本と韓国で交互に開催され、第1回は国立ソウル大学のKwan-Taek Noth教授がソウル市で開催されました。最近では、2022年4月に大阪公立大学の角南貴司子教授が第18回JKJMを主催され、本年3月には漢陽大学(Hanyang University)のKyung Tae教授がソウル市で第19回JKJMを開催されます。このような38年の歴史を持つJKJMですが、今後、どのように展開し発展させるか、再考する時期が来ています。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の国際化に向けて
 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会はIFOSはじめ米国のAAO-HNS、また昨年からEuropean Confederation of Otorhinolaryngology Head and Neck Surgery(CEORL)のCo-opted memberになり国際化を図っています。そして、今年大阪で開催される第125回日耳鼻総会学術講演会(猪原秀典会長)では、新たに国際シンポジウムや英語で発表するEnglishセッションを設けました。すでに130題近い演題の応募があるようで、学術講演会で国際化が進むことが期待されます。そして、将来的には、JKJMやJapan-Taiwan Conference on Otolaryngology-Head&Neck Surgeryも総会学術講演会に合わせて開催することも選択肢の一つと考えています。
 いずれにしても、今回の日・韓耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のMOU提携が両国間の人的かつ学術交流を活発にし、両学会の発展に寄与することを期待するとともに、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の国際化がさらに進むことを願っております。
 

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
理事長 村上 信五

Last update: 2024年2月21日
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