一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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委員会からのお知らせ

薬剤耐性菌(AMR)対策のための抗菌薬適正使用の推進について

薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)とは
 感染症の原因となる細菌に抗菌薬(抗生物質)が効かなくなることです。
抗菌薬の不適切な使用を背景として、薬剤耐性菌が世界的に増加する一方、新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあり、国際社会でも大きな課題となっています。

薬剤耐性(AMR)対策について
 2015年5月の世界保健総会において、薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プランが採択されました。我が国では、厚生労働省において、薬剤耐性対策に関する包括的な取組について議論し、2016年4月5日、我が国として初めてのアクションプラン(2016-2020)が策定され、2023年4月に薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)が更新されています。

抗菌薬適正使用の推進
 抗菌薬の適正使用においては、「適切な薬剤」を、「必要な場合に限り」「適切な量と期間」使用することを徹底することが重要です。

  1. 「かぜ」の原因は“ウイルス”です。抗菌薬は細菌に対して作用するため、「かぜ」すなわちウイルス感染に対して抗菌薬は効果がありません。
  2. 急性中耳炎、急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎・扁桃炎に対しては、抗菌薬の第一選択薬は、アモキシシリンが推奨されます。

− 抗菌薬適正使用を推進するための診療加算 −
 患者さんにより安全で効果的な治療を提供するとともに、抗菌薬の適性使用を支援し医療の質を高めるために、いくつかの診療報酬加算が設けられています。

  1. 外来感染対策向上加算 (6点)
  2. サーベイランス強化加算 (1点)
  3. 抗菌薬適性使用体制加算 (5点)
  4. 耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算 (80点)

*詳細については、最新の診療報酬点数表をご参照ください。

 薬剤耐性(AMR)菌の拡散は、見えない危機といえます。薬剤耐性菌の増加を抑制し、未来の医療を守るため、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、抗菌薬の適正使用を強く推進しています。

参考資料

  1. 厚生労働省ホームページ 薬剤耐性(AMR)対策
    薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2023-2027 概要
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/ap_gaiyou.pdf 
  2. 厚生労働省 抗微生物薬適正使用の手引き第三版
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001169116.pdf
  3. 国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター AMR臨床リファレンスセンター
    薬剤耐性 かぜに抗菌薬は効きません!!
    https://amr.jihs.go.jp/information/campaign2025.html


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Last update: 2025年12月2日New
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