一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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重要なお知らせ

「下アゴ整顔術による難聴改善」に関して

 最近、「下アゴ整顔術」と称する施術を行うことで難聴、特に数年経過した完全失聴や加齢性難聴が改善する、とのインターネット広告が見られます。広告では、加齢により下垂する下顎を矯正することにより中耳にある鼓膜張筋などの状態を良くして、耳管機能を回復することにより(加齢性)難聴を改善させるとうたわれています。しかし(一社)日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、以下のような理由から、整顔術で難聴が改善することは期待できないと考えており、皆様にはこの種の広告に惑わされることのないようにお願いいたします。

  • そもそも加齢により下顎が下垂するという医学的な根拠はなく、下顎の位置と鼓膜張筋などの状態に関連性もありません。
  • 完全失聴や加齢性難聴の大部分は、内耳の蝸牛にある音を感じる細胞(有毛細胞)の障害や聴神経の障害によるもの(感音難聴)であり、整顔術によりこれらの障害が改善することは考えられません。広告中にある「人混みの中で相手の話が聞き取りにくくなる」というのは、感音難聴の特徴です。

 なお、加齢による耳管機能の障害により難聴を生じる場合はありますが、その場合には、薬物療法、耳管通気治療、鼓膜切開術、鼓膜換気チューブ挿入術などの適切な治療を保険診療で行うことができます。

一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
理事長 村上 信五

2022年2月1日掲載
Last update: 2022年2月1日
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