一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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学会について

19代 理事長挨拶

19代理事長 大森 孝一

ごあいさつ

会員の皆様におかれましては、日頃より学会の活動へご支援いただきありがとうございます。
 本学会が果たすべき役割は大きく二つあると考えています。一つ目は専門的で質の高い医療を国民にわかりやすく説明し提供すること、二つ目は臨床に役立つ研究を推進し新しい医療を開発し実用化することです。ここでは日耳鼻のこの2年間の活動、とくに新しい活動についてお伝えします。

1.専門的で質の高い医療を国民にわかりやすく説明し提供
<難聴の啓発・広報活動>
 難聴と認知症の関連は今まさにトピックスで、聴覚補償により認知機能の低下をある程度抑制できることが分かってきました。国民にきこえの大切さを理解してもらうために難聴啓発キャンペーンを始めており、ACジャパンの支援で一昨年7月から近藤真彦さん、昨年7月からミミーズというキャラクターによる漫才で、聴力改善術、補聴器、人工内耳といった治療の可能性について発信しています。80歳でささやき声程度の30dBが聞こえるようにといった聴こえ8030運動も進めています。
 国民が難聴に気づいて受診した際に適切に説明できるように、一昨年には難聴診療のアルゴリズムを作り会員にお配りしました。昨年から実際に補聴器診療を行っている補聴器相談医リストを公開しています。今年の3月には厚労科研のご支援を受けて「軽度・中等度難聴の診療の手引き」を刊行する予定です。全国の自治体で補聴器助成制度も広がっています。
<嚥下キーパーソン制度の設立>
 耳鼻咽喉科頭頸部外科医が中心となり、地域における嚥下障害の予防・診療体制の整備および連携促進を図ることを目的として、嚥下キーパーソン制度を設置しました。まず、地方部会の福祉医療委員会等とともに会員向けの嚥下診療関連講習会・実技研修会の企画・運営を行い、地方部会会員の嚥下診療レベルの向上をはかります。次に、嚥下診療における他診療科・多職種・行政・医師会等との連携調整の促進など、対外的に耳鼻咽喉科における嚥下診療の活動の理解と連携を深めていきます。
2.新しい医療への取組み
<耳鼻咽喉科頭頸部外科 医療DX研究会>
 新しい医療への対応として、耳鼻咽喉科頭頸部外科医療DX研究会を立ち上げ、日耳鼻秋季大会の前日の11月21日(金)に第1回を開催しました。診療所でのデジタル化、へき地をつないだ遠隔医療、個別化・効率化されたモバイルヘルス、最先端のAI研究まで幅広い内容に100名を超える方にご参加いただきました。今年の秋季大会でも開催します。興味のある耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が集まり、新たな医療創出のきっかけにしたいと考えています。是非ご参加ください。
<耳鼻咽喉科頭頸部外科 高齢者医療研究会>
 高齢者の医療も重要です。高齢化に伴い、聴覚、平衡、発声、嚥下などの機能が低下します。聴覚では補聴器や人工内耳の積極的な活用が考えられます。嚥下機能低下が嚥下障害へ進み誤嚥性肺炎につながっていくと考えられ、早期発見とリハビリテーションによる改善が期待されます。今後国では医療と介護の一体化が進められる中で、学会として高齢者医療に力を入れていきます。今年の総会の最終日に開催予定です。
<臨床研究推進・実用化とオールジャパンプロジェクト>
 臨床研究の推進と新しい医療の開発・実用化に関してオールジャパンで取り組み、医学的シーズや社会的ニーズを発掘し、学会主導で研究を推進しその成果を社会に還元したいと考えています。今年は、耳鼻咽喉科頭頸部外科の専門性を活かして、医療や介護の現場における課題解決を目的とした臨床研究や、耳鼻咽喉科医療の将来戦略策定のため医療データに基づく解析を行う研究に対して、臨床研究スタートアップ資金を日本臨床耳鼻咽喉科医会と共同で助成します。また、人工聴覚器や舌下神経電気刺激器などの新しい医療機器や、中耳や気道の再生医療などの発展も期待されます。
3.若手医師のリクルート
 臨床研修医・医学生のリクルートについては、従来は日耳鼻総会でハンズオンセミナーを中心に行っていましたが、一昨年、昨年の秋季大会ではTEDプレゼンテーションや教育セミナーを開催し、今年11月の秋季大会でも開催します。さらに、昨年の7月26日(土)27日(日)に1泊2日で第1回日耳鼻サマースクールを開催しました。土曜日は最新の耳鼻咽喉科医療の講演、日曜日は耳、鼻、頸部手術などのハンズオンセミナーを行いました。耳鼻咽喉科の魅力を体感していただけたものと思います。今年は、6月27日(土)に大阪で開催します。是非ご参加を勧めてください。
4.国際化
 日耳鼻の国際化を目指して、一昨年の大阪総会でアジアを中心とした海外から若手の演者を50名程度お呼びして国際セッションを開始しました。昨年の横浜総会では70名程度に参加いただき、懇親会も大変盛況でした。今年は、仙台の総会で国際セッションに加えて、通常の一般演題でもスライドをできれば英語にしていただく予定です。また、日本から海外への留学支援も令和5年から継続して行っています。
5.他学会との連携
 耳鼻咽喉科だけでは進められない医療が多くありますので、他学会とのネットワーキングに力を入れています。まず新生児難聴について、新生児聴覚スクリーニングや先天性サイトメガロウイルス感染症などを話題として、日本産婦人科学会、日本小児科学会との共同シンポジウムを昨年5月の日耳鼻総会、11月の日耳鼻秋季大会で実施しました。また、HPVワクチンのジェンダーレス接種を目指した活動も3学会で一緒に行っています。日本眼科学会とは日本学術会議感覚器分科会で、感覚器に関する公開シンポジウムを今年2月に行う予定です。日本老年医学会、日本睡眠学会、日本臨床疫学会とは共同でシンポジウムやワークショップを行っています。できるだけ視野を広げて日耳鼻を活性化させたいと思います。
最後に
 耳鼻咽喉科・頭頸部外科を取り巻く環境は、かつてないほどに複雑であると同時に、大きな可能性にも満ちています。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の未来は、会員の皆様お一人お一人の意思とご尽力にかかっております。今後ともご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、ともに力を合わせ、学術と医療のさらなる発展を目指していきましょう。

2026年2月4日掲載

日耳鼻の新しい活動について

会員の皆様におかれましては、日頃より学会の活動へご支援いただきありがとうございます。日耳鼻の新しい活動についてお話しします。

1.啓発、広報活動
 国民にわかりやすく説明するために難聴啓発キャンペーンを始めており、ACジャパンによる啓発・広報活動として昨年7月からの近藤真彦さんに引き続き、今年の7月からはミミーズというキャラクターによる漫才で、聴力改善術、補聴器、人工内耳といった治療の可能性についても発信しています。80歳でささやき声程度の30dBが聞こえるようにといった聴こえ8030運動も進めています。
 難聴診療につきましては、国民が難聴に気づいて受診した際に適切に説明できるように診療アルゴリズムを作って会員にお配りしました。補聴器相談医については以前から有資格者リストの公開は行っていましたが、今年から実際に補聴器診療を行っている補聴器相談医リストの公開を開始しました。全国の自治体で補聴器助成制度も広がっており、患者さんや行政から見て、難聴がある場合にどこに行けば良いかわかりやすい情報を発信したいと思います。難聴と認知症の関連は今まさにトピックスで、聴覚補償によりある程度は認知機能の低下を抑制できることが分かってきました。国民や医療関係者に広く啓発していく必要がありますので、会員の皆様も一緒にお願いします。
 11月には東京でデフリンピックが開催されます。聞こえない方々のスポーツに感動する場面も多いと思います。日本サッカー協会、日本ろう者サッカー協会との協力をいただいて、デフサッカー女子日本代表チームを撮影したドキュメンタリー応援動画を公開しております。日本の聴覚障害の認定基準は70dBですが、デフリンピックの出場基準が55dBであり、学会や医会として難聴の診断やドーピング対策などにも協力しております。
 学会では23の委員会と17のWGが活動しており、委員の皆さんには多大なご尽力をいただいています。今年の第126回総会では、委員会発案の魅力的なシンポジウムを多数企画し、未来ビジョンとしてお届けしました。来年1月の全国会議や5月の第127回総会でも充実したプログラムを提供いたします。
2.他学会との連携
 耳鼻咽喉科だけでは進められない医療が多くありますので、他学会とのネットワーキングに力を入れています。まず新生児難聴について、新生児聴覚スクリーニングや先天性サイトメガロウイルス感染症などを話題として、日本産婦人科学会、日本小児科学会との共同シンポジウムを5月の日耳鼻総会で実施し、11月の日耳鼻秋季大会でも予定しています。また、HPVワクチンのジェンダーレス接種を目指した活動も3学会で一緒に行っています。日本眼科学会とは日本学術会議感覚器分科会で、感覚器に関する公開シンポジウムを来年2月に行う予定です。
 専門医制度につきましては、日本専門医機構にご指導を頂きながら進めています。また、日本整形外科学会、日本眼科学会、日本皮膚科学会、日本脳神経外科学会、日本泌尿器科学会、および日本形成外科学会による専門診療科連携会議を今年2月から開催しています。規模的に近いこれらの基本領域学会と専門医制度だけでなく、学会運営や行政との連携など幅広く意見交換を行っています。
3.新しい医療への取組み
 新しい医療への対応として、耳鼻咽喉科頭頸部外科医療DX研究会を立ち上げました。日耳鼻秋季大会の前日の11月21日(金)に第1回を開催します。診療所でのデジタル化、へき地をつないだ遠隔医療、個別化・効率化されたモバイルヘルス、最先端のAI研究まで幅広い内容になっています。興味のある耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が集まり、新たな医療創出のきっかけにしたいと考えています。是非ご参加ください。
 高齢者耳鼻咽喉科医療も重要です。高齢化に伴い、聴覚、平衡、発声、嚥下などの機能が低下します。聴覚では補聴器や人工内耳の積極的な活用が考えられます。嚥下機能低下が嚥下障害へ進み誤嚥性肺炎につながっていくと考えられ、早期発見とリハビリテーションにより改善できると思いますので、会員の皆様も嚥下機能の検査や評価をお願いします。今後国では医療と介護の一体化が進められる中で、学会として高齢者医療に力を入れていきます。
 臨床研究の推進と新しい医療の開発・実用化に関しては、オールジャパンプロジェクトとして、医学的シーズや社会的ニーズを発掘し、学会主導で研究を推進しその成果を社会実装したいと考えています。今年は、耳鼻咽喉科頭頸部外科の専門性を活かして、医療や介護の現場における課題解決を目的とした臨床研究や、耳鼻咽喉科医療の将来戦略策定のため医療データに基づく解析を行う研究に対して、臨床研究スタートアップ資金を助成します。これは、日本臨床耳鼻咽喉科医会と共同で行います。
4.若手医師のリクルート
 臨床研修医・医学生のリクルートについては、従来は日耳鼻総会でハンズオンセミナーを中心に行っていましたが、昨年の秋季大会ではTEDプレゼンテーションや教育セミナーを開催し、今年11月の秋季大会でも開催します。さらに、今年の7月26日(土)27日(日)には1泊2日で第1回日耳鼻サマースクールを開催しました。土曜日は最新の耳鼻咽喉科医療の講演、日曜日は耳、鼻、頸部手術などのハンズオンセミナーを行いました。耳鼻咽喉科の魅力を体感していただけたものと思います。
5.国際化
 日耳鼻の国際化を目指して、昨年の大阪総会でアジアを中心とした海外から若手の演者に50名程度お呼びして国際セッションを開始しました。これに伴い、日本国内からも英語での発表を募り、各セッションは大変盛り上がりました。今年の横浜総会では70名程度お呼びし、懇親会も大変盛況でした。来年は、国際セッションに加えて、通常の一般演題でもスライドをできれば英語にしてもらう予定です。また、日本から海外への留学支援も令和5年から行っています。
6.最後に
 医療をとりまく状況は厳しくなってきておりますが、耳鼻咽喉科頭頸部外科では、がんや気道疾患などの救命医療に加えて、QOL向上など価値の高い医療を提供することが最も大切です。働き方改革や医師の偏在に対してはDXによる効率化や医師・患者などすべての医療関係者の意識改革を進めていく必要があります。また、今後は医療や介護の現場における国民のニーズに答えた耳鼻咽喉科診療が求められます。
 皆様のご意見を頂戴して学会を前に進めてまいりますので、ご支援をよろしくお願いいたします。

2025年9月17日掲載

年頭のごあいさつ

新年明けましておめでとうございます。
 会員の皆様には、日頃より本学会にご支援ご協力いただき誠にありがとうございます。
 本学会が果たすべき役割は大きく二つあると考えています。一つ目は専門的で質の高い医療を国民にわかりやすく説明し提供すること、二つ目は臨床に役立つ研究を推進し新しい医療を開発し実用化することです。
 国民にわかりやすく説明するために、新たな広報・啓発活動として昨年7月からACジャパンによる難聴啓発キャンペーンを始めました。近藤真彦さんに出演いただいたテレビやラジオでのコマーシャル、駅でのポスターをご覧になった会員も多いと思います。また、80歳でささやき声30dBが聞こえるようにという聴こえ8030運動も開始しています。日本医学会連合領域横断的連携活動事業(TEAM事業)に「加齢性難聴の啓発に基づく健康寿命延伸事業」が採択され、その一環として、昨年の9月に「難聴と認知症」をテーマとしたメディアセミナーを開催しました。今年の耳の日の講演会では、従来の耳鼻咽喉科医師に加えて厚生労働省から日本での難聴対策についてお話しいただく企画を予定しています。メディアや行政と一緒になって難聴啓発を進めていますので、患者さんが来院されましたら一層寄り添った対応をお願いできればと思います。
 ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)は子宮頸がんや中咽頭がんなどの発症要因であり、これまで日本産科婦人科学会と共に重要なテーマとしてHPVワクチン接種の推奨に取り組んできました。昨年11月には「HPV関連がん」をテーマとしたメディアセミナーを開催しました。今年の総会では日本小児科学会もあわせて3学会合同シンポジウムを予定し、ジェンダーレス接種を目指して横の連携を密に進めていきます。
 耳鼻咽喉科領域のリハビリテーションの普及にも力を入れており、日本リハビリテーション医学会との連携を強化しています。嚥下障害については、TEAM事業「『いつまでも健康で美味しく食べる』ための、多学会連携による嚥下障害対策の普及活動」も採択され、この活動を開始しています。また、国民病と言われる花粉症対策として、モデル地区を中心に重症化ゼロ作戦を進めています。
 臨床研究の推進と新しい医療の開発・実用化に関しては、オールジャパンプロジェクトとして、医学的シーズや社会的ニーズを発掘し、学会主導で研究を推進しその成果を社会に還元したいと考えています。また、人工聴覚器や舌下神経電気刺激器などの新しい医療機器や、中耳や気道の再生医療などの発展も期待されます。
 医療DXへの対応も重要な課題で、世の中はかなりのスピードで進んでいます。これまで日耳鼻ではワーキンググループ(WG)を作って、遠隔医療やオンライン診療、AI診療支援、ビッグデータ解析、モバイルヘルスについて情報の収集や提供を行ってきました。一昨年、昨年は秋季大会でオンライン診療の実技講習を行いましたが、今年は研究会を立ち上げて興味のある耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を集め、新たな医療創出のきっかけにしたいと考えています。
 学会では23の委員会と17のWGが活動しており、委員の皆さんに多大なご尽力をいただいています。今年の総会では委員会発案の魅力的なシンポジウムを多数企画し、参加者の皆様には、未来ビジョンをお届けできるものと思いますので是非ご期待ください。
 一昨年、昨年と耳鼻咽喉科専攻医希望者数が激減しています。緊急対策として、耳鼻咽喉科の魅力をアピールする企画を複数立ち上げました。昨年の秋季大会ではTEDプレゼンテーションや教育セミナーを開催しました。今年の総会では例年通りのハンズオンセミナーを予定しますが、7月末に講演と懇親会とハンズオンを組み合わせた1泊2日のサマースクールを開催します。対象は医学生4年生~6年生、初期研修医1、2年目です。各教室から1名は来ていただければありがたいです。
 耳鼻咽喉科・頭頸部外科は学問としても医療としても本当に面白い分野です。特徴はたくさんあり、1.幅広い患者層、2.多様な疾患の治療、3.働く場所が多様、4.いろいろな働き方、5.最新の機器を用いた手術、6.最新の研究、7.他科・他職種との連携が多く広い視野で学際的アプローチができることです。7つの魅力を学会のホームページで説明していますので是非ご覧ください。
(https://www.jibika.or.jp/modules/residents/index.php?content_id=2)。
 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の魅力をまとめると、感覚器のエキスパート、気道救急や頭頸部がん診療など命を守るエキスパートとして活躍でき、豊富なサブスペシャルティがあることです。アメリカではトップ3の人気診療科です。日本でもそのような価値の高い診療科を目指して進んでいきたいと思います。
 皆様にとって輝かしい年になりますように!

2025年1月6日掲載

ごあいさつ

令和6年5月15日に開催された日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会理事会において、第19代理事長に選出されました。大変光栄なことと存じます。医学の発展と人材育成、安全な医療の提供や新しい医療の開発に努めてまいりますので、ご支援よろしくお願いいたします。
 本学会は1893(明治26)年に設立され、日本医学会連合に加盟する医学系学会としては最も長い131年の歴史を持ち、会員11,000名余を有する学術団体です。耳科学、鼻科学、咽頭喉頭科学、頭頸部外科学の研究と教育、医療と福祉を担っています。診療範囲が幅広く多岐に亘り、各々の専門性を高める必要性からこれまで多くの研究会や学会が発足し、現在関連する学会は15団体あります。また、令和2年4月に設立された日本臨床耳鼻咽喉科医会とともに、耳鼻咽喉科頭頸部外科の医療と福祉の充実や発展に全力で取り組んでおります。
 本学会が果たすべき役割は大きく二つあると考えています。一つ目は、専門的な医療を全国の皆様に等しく提供することと、二つ目は臨床に役立つ研究を推進し新しい医療を開発し実用化することです。これらを実現するためには、人材の育成が欠かせません。
 耳鼻咽喉科頭頸部外科は感覚器のエキスパート、気道救急や頭頸部がん診療など命を守るエキスパートとして活躍でき、豊富なサブスペシャルティがあることからアメリカではトップ3の人気診療科です。一方で、日本ではここ数年専攻医希望者が減少しています。先般のコロナ禍では、上気道疾患を扱うため甚大な影響を受けましたが、医学生の時期に実習で手術に参加できなかったことも影響していると考えられています。しかしながら、これからの超高齢社会を迎えるにあたって、感覚器障害や頭頸部がんは増加し、耳鼻咽喉科頭頸部外科の医療ニーズはますます多くなっていくと予想されます。今後は医師としてのやりがいとワークライフバランスを保って、耳鼻咽喉科頭頸部外科の魅力を伝えることが大切です。専攻医のリクルートと専門医の育成が喫緊の課題であり、全国で取り組んでいきます。
 耳鼻咽喉科頭頸部外科は聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚などの感覚器、聴覚や音声言語のコミュニケーション、摂食嚥下や呼吸などのQOLや生命維持、命に関わる気道救急や頭頸部がんの医療を担っています。現在の耳鼻咽喉科の診療体系は、耳、鼻、のどなど解剖学的に分類されていますが、これを、感覚器医療、コミュニケーション医療、QOLや生命維持の医療、頭頸部がん医療と機能的に体系化することで、さらに提供する医療の価値を高めることができると考えています。日本臨床耳鼻咽喉科医会と協働して診療体系を見直し、地方と都会それぞれに合ったモデルを作って横に展開していきます。とくに高齢者の難聴と認知症、めまい、嚥下障害などフレイル対策は重要です。
 二つ目の役割である臨床研究の推進と新しい医療の開発・実用化に関しては、オールジャパンプロジェクトとして、医学的シーズや社会的ニーズを発掘し、学会主導で研究を推進しその成果を社会に還元したいと考えています。また、会員が関わる科学研究費やAMEDなどへの支援や新しい医療の実用化における学会としての対応も行っていきます。
 複数の診療科が関係する領域は非常に大切で、めまい、顔面神経麻痺、アレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺癌、口腔癌などにおいて専門性の高い診療を提供し、プレゼンスを高めていきます。また、耳鼻咽喉科領域のリハビリテーションの普及にも力を入れていきます。これらの活動におきましては、関連する学会との連携強化と活性化、他科・他職種との連携が重要です。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 先般のコロナ禍は学会運営や学術集会の開催にも多大な影響を与えました。このような状況において診療や学会、学術集会の在り方を見直し、ポストコロナ時代の対応と改革が急がれます。遠隔医療やオンライン診療、AI診療支援、ビッグデータ解析、モバイルヘルスなどの医療DXへの対応も重要な課題です。
 会員の皆様には明るい耳鼻咽喉科頭頸部外科の未来のために、より一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2024年7月16日掲載
Last update: 2026年8月24日
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