一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う代表的な病気

鼻の症状

鼻がつまる

 鼻づまりが続くと、単に鼻がつまって苦しいというだけでなく、においが分からなくなったり、口呼吸になるため、のどを痛めてかぜを引きやすくなったりします。さらに、いびきや、集中力がなくなる、疲れやすいなどといった全身的な症状も伴い、小児の場合は学業や成長にも影響がでることがあります。
 鼻づまりの原因はさまざまですが、多くは、かぜに伴う鼻炎、アレルギー性鼻炎急性・慢性副鼻腔炎などによる鼻の粘膜の腫れや鼻茸(はなたけ)、粘った鼻汁などです。小児の場合はアデノイドが鼻を後ろ(上咽頭)からふさいでいる場合もあります。片側だけに鼻づまりが強い場合は鼻の左右を分ける鼻中隔が曲がっていたり(鼻中隔弯曲症)、ときには腫瘍が見つかることもあります。
 鼻づまりを改善する点鼻薬は使いすぎると効かなくなり、点鼻薬性鼻炎(薬剤性鼻炎)といって逆につまってしまうことがあります。また鼻の乾燥や加齢による通気知覚の低下などで、鼻が通っているのにつまったと感じることがあります。
 鼻づまりの程度を客観的に調べるには鼻腔通気度検査や音響鼻腔計測検査、鼻咽腔内視鏡検査やCT検査などを行います。このように鼻づまりはいろいろな原因で生じるため、その原因を詳しく調べることが必要です。治療は、原因に応じて鼻の処置やネブライザーで粘膜の腫れをとり、投薬を行います。しかし、これらの治療の効き具合や原因によっては手術が必要となることもあります。

鼻水が出る

 鼻水にはどろどろの黄色い鼻水(膿性鼻漏)と、水のようにさらさらの鼻水(水様性鼻漏)があります。鼻の奥の副鼻腔が感染を起こすと副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)となり膿性鼻漏がでます。また、幼児では鼻に異物を入れ膿性鼻漏が続くことがあります。いずれも耳鼻咽喉科でしっかりした治療が必要です。水様性鼻漏は、かぜの鼻炎や、アレルギー性鼻炎で起こります。かぜは咳やだるさなどの症状を伴うことが多く、アレルギー性鼻炎はくしゃみや鼻づまりを伴うことが多いです。自律神経の反応で起こる血管運動性鼻炎もアレルギー性鼻炎と同様の症状を呈します。

くしゃみが出る

 鼻内の知覚神経が刺激されるとくしゃみがでます。くしゃみは鼻の中の異物を外に出すための生体の防御反応です。くしゃみに加え、鼻水、だるさ、熱があるときにはかぜによる鼻炎が考えられます。また、くしゃみに鼻水、鼻づまりがあればアレルギー性鼻炎が考えられます。鼻や目もかゆければ花粉症の可能性があります。

においがしない

 嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)を参照してください

鼻血が出る

 鼻の粘膜はもともと毛細血管が豊富で、しばしば、特に原因もなく出血することがありますし、軽微な外傷でも鼻を何かにぶつけたときに出血します。また持病で、血圧が高い、血液をサラサラにする薬を服用していると小さな傷でも止まりづらくなります。鼻の病気が隠れていることもあり、上顎がんなどの腫瘍があると鼻血を出すことがあります。いわゆる血管腫は良性の腫瘍ですが若い人に多く、若年性血管腫と言われます。
 鼻血が続くときには一度耳鼻咽喉科医の診察を受けてください。

鼻がくさい

 「鼻がくさい、におう」「ドロっとした鼻水が出る(ネギっぱな)」など、誰しも一度は経験があるのではないでしょうか。一昔前は「蓄膿症(ちくのうしょう)」と呼ばれていた、いわゆる慢性副鼻腔炎が疑われる症状です。「サラサラした鼻水が出る(水っぱな)」「くしゃみや目の痒みがある」という症状のアレルギー性鼻炎とは違い、細菌やカビ、ウイルスによる感染が主な原因です。ただ慢性副鼻腔炎のなかには、白血球の仲間で好酸球が関連する難治性の好酸球性副鼻腔炎、「うえの歯の虫歯、歯根の炎症」が原因となる歯性上顎洞炎、がんなどの腫瘍により鼻水が出しづらく副鼻腔炎を生じる場合、免疫に関係する病気(ANCA関連血管炎)の可能性もありますので症状が長引く場合は耳鼻咽喉科医に相談しましょう。

鼻がのどに流れる

 鼻がのどに流れる症状は後鼻漏(こうびろう)と呼ばれます。鼻水の一部がのどに回るのは誰にもある生理的な現象ですが、その量が多くなったり粘りが強くなってべったり付着したりすると不快感を伴います。これはアレルギー性鼻炎副鼻腔炎でよくみられる症状ですが、とくに副鼻腔炎に伴う後鼻漏は痰や口臭の原因になるだけでなく、のどや気管を刺激して咳の原因になることもあります。ときには鼻の突き当り(上咽頭)の炎症が、後鼻漏の原因となったり、不快感を増強したりすることもあります。耳鼻咽喉科を受診し、鼻の後方まで観察する内視鏡検査やX線、CT検査でその原因を明らかにする必要があります。生理食塩水による鼻の洗浄(鼻うがい)が効果的なこともあります。ただし、洗浄液の温度、食塩水の濃度、やり方などを間違えると、鼻の粘膜や耳を痛める可能性があるため、耳鼻咽喉科医の指導の下に行う必要があります。

Last update: 2022年12月14日
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