
人工内耳Q&A
- 1)手術時間はどのくらいでしょうか?
- 全身麻酔での手術で実際の手術時間は通常2~3時間程度です。ただし、内耳の形の異常などの特殊な例では余分に時間がかかる場合があります。
- 2)手術合併症や後遺症はありますか?
- 人工内耳の手術は比較的安全な手術ですが、いくつかの合併症が生じる可能性はあります。術後めまい感やふらつきが生じることがありますが、通常1~2週間以内に治ります。味覚の障害が起こることがありますが、通常6か月から1年以内に軽快することが多いです。また顔の筋肉を動かす顔面神経のすぐそばの骨を削るため、まれに顔面麻痺が生じることがありますが、これも通常回復します。人工内耳術後、特に内耳形態異常や髄膜炎後の場合では、新たに髄膜炎が生じるリスクがやや高くなります。髄膜炎の発症率は1000人に1人くらいと考えられています。また100人に1人程度の確率で埋め込んだ人工内耳が原因で中耳や内耳に感染を生じることがあります。
- 3)リハビリテーションについて教えてください
- 手術後1~2週間前後で「音入れ」(初めて人工内耳を介した音を聞く)を始め、1~2か月位は、週に1回程度電極の調整のマッピングを含めたリハビリテーションがあります(施設や個人によって異なります)。言語獲得後の中途失聴者が多くを占める成人と言語習得前失聴者が主体の小児とでリハビリテーションの頻度や内容が異なります。一般的には小児例の方が頻回のリハビリテーションを必要とする場合が多いです。人工内耳装用状態が安定すれば徐々にリハビリテーションの間隔を伸ばしていきますが、その場合でも、半年か1年に1回位の定期的なチェックが必要です。
- 4)片耳がまったく聞こえない場合に人工内耳の適応はありますか?
- 反対側(良聴耳)が正常聴力である場合の人工内耳手術は、現時点では健康保険の対象外となります。
- 5)人工内耳と補聴器の併用はできますか?
- 使用者の聞き取り向上に役立つのであれば、片耳に人工内耳装用中に反対側に補聴器を使用しても問題はありません。ただしことばの聞き取りには個人差があり、必ずしも併用して聞き取りが向上するわけではありません。
- 6)人工内耳で電話や音楽が分かりますか?
- 個人差がありますが、電話の聞き取りが可能な場合もあります。一般に音楽のメロディーの聞き分けは困難ですが、リズムは分かりやすい場合が多いので打楽器中心の音楽であれば音楽を楽しむことも可能です。また、最近はスマートフォンなどと無線接続をして、電話や音楽を楽しめる人工内耳も増えています。
- 7)人工内耳手術後にスポーツはできますか?
- 人工内耳埋め込み部分の耳の後ろの部分を打撃する可能性が高いスポーツ(格闘技など)は不向きですが、それ以外のスポーツであれば可能です。体外装置をはずせばもちろん水泳も可能ですが、プール用の防水カバーを使用すれば、プールやお風呂でも音を聞くことができます。
Last update: 2023年11月1日
