一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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難聴

補聴器のやさしい解説

1.補聴器を使う目的

 補聴器は普通の大きさの声で話される会話が聞き取りにくくなったときに、はっきりと聞くための管理医療機器(※)です。遠く離れた音や特別に小さな声を拡大して聞くものではありません。

 どの程度の聴力になったら補聴器を使えばよいかは、その人の生活によって異なります。自分が日常の会話で聞き取りにくいことが多くなったと感じたり、重要な会話が正しく聞けないと感じたら補聴器を使うことを考えてください。

 (※管理医療機器:平成17年4月1日に改正された薬事法により、補聴器も管理医療機器に分類が変更された。管理医療機器を販売する場合、営業所の管理者の届出が必要となる。管理医療機器は医療機器のリスク分類(副作用・機能障害を生じた場合の人の生命・健康に対するリスクの大きさ別に3つに分類)のなかで、クラスIIの「リスクが比較的低い」に分類されている。)

2.補聴器が必要か効果があるかの判断は専門医の診断を

 自分自身や家族の判断で補聴器が必要か、効果があるかを正しく決めることはできません。聴覚検査の結果と日常の音の環境とそれぞれの人にとって重要な会話の関係から総合的に判断することが必要です。聴力障害と補聴器の両方を熟知した日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の補聴器相談医の診察を受けてください。

3.補聴器には多くの種類があります

 補聴器は形の違いだけではなく、機能上もいろいろな種類があります。難聴の程度に応じて、少し聞き取りにくい軽い難聴用からほとんど声が聞き取れない高度の難聴用まであります。また、主に使う場所が家庭の場合、騒音のある戸外の場合、パーティーなど大勢の人の声がある場合などで必要な機能を備えた種類があります。価格には大きな開きがありますが、高ければよいというものではありません。家庭での使用が主な場合には低価格のもので十分な機能を備えています。正しく調整されているかどうかが重要です。

 自分に最適な補聴器を選ぶために、補聴器相談医から販売店の紹介を受けてください。補聴器は主に生活の場で使われますが、医療機器ですから慎重に選ぶ必要があります。

4.補聴器は個人ごとに細かい調整が必要です

 聴力障害の状態には、小さい会話が聞こえない、会話を誤って聞く、音が不快に聞こえるなどの点で個人差があります。簡単な聴力検査だけではその人のことばの聞こえ方は分かりません。ことばがどのように聞き取れているかを調べることで、補聴器を使う場合にどこまで聞こえるか、どのような限界があるかを予測できます。

 難聴疾患のために障害を受けた耳の残された聴覚を使って、ことばを聞き分ける能力を最大限に発揮させることが、補聴器を最も効果的に使用できる重要な要素ですから、補聴器相談医の診断に基づいて調整をしてもらうことが必要です。微細な調整は素人やコンピュータではできません。医師の正しい方針と熟練した言語聴覚士、補聴器技能者などの技術が必要です。

5.補聴器購入時に公費負担制度があります

 難聴が重く身体障害者に認定されれば、聴力に見合う補聴器を購入する際に、一定額の費用が支給されます。補聴器相談医の診察をうけ、該当する聴力の方は、居住する市町村の福祉関係窓口に申請してください。

Last update: 2022年12月7日
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