小児の鼻副鼻腔炎
小学4年生のとおる君は以前から鼻がつまり、黄色い鼻汁をたらすことも多く、ティッシュを手放せません。耳鼻咽喉科医に副鼻腔炎と診断され、通院し鼻汁の吸引などの処置と飲み薬を続けています。最近ようやく鼻づまりは軽くなり鼻汁も出なくなりました。現在は、かぜが長びいたときに短期間治療を受ける程度です。
- Q1.副鼻腔はどこにあるのですか?
- 副鼻腔は、頬〈ほお〉(上顎洞〈じょうがくどう〉)、両目の間(篩骨洞〈しこつどう〉)、そして額〈ひたい〉(前頭洞〈ぜんとうどう〉)の下の骨の中にあり、粘膜でおおわれた空洞でそれぞれが鼻の中とつながっています。
- Q2.副鼻腔炎(蓄膿症〈ちくのうしょう〉)とはどのような病気ですか?
- かぜなどで鼻の粘膜に急な炎症がおこり、それが副鼻腔の粘膜にひろがって副鼻腔炎をおこします。この急性副鼻腔炎は適切な治療を受けると1、2週間で治ることが多いですが、放っておくと長引いて慢性副鼻腔炎になってしまうことがあり、治療に時間がかかります。
- Q3.どのような症状をおこしますか?
- 鼻がつまったり、ねばっこくて色のついた鼻汁が多く出ます。また、においがわかりにくくなったり、鼻汁がのどにまわって、せきの原因になることがありますし、鼻づまりのために頭がぼーっとして、勉強が手につかなくなることもあります。ときには頭痛や発熱を伴うこともあり、鼻とつながっている中耳に影響をおよぼし、急性中耳炎、滲出性中耳炎〈しんしゅつせいちゅうじえん〉をきたすこともあります。さらには、のどの炎症、気管支炎、ときには鼻づまりによる睡眠障害をおこすこともあります。
- Q4.どのような検査をするのですか?
- 鼻の中やのどをよくみたうえで、必要ならX線、ときにはCT検査を行うこともあります。また、鼻の中をさらに詳しくみるために内視鏡を使ったり、鼻の通り具合を見る検査をすることもあります。また、炎症の原因となっている細菌の検査をし、治療薬を決めるための参考にすることもあります。
- Q5.治療にはどのようなものがありますか?
- 耳鼻咽喉科では、鼻汁の吸引や薬の噴霧による鼻の処置、抗生物質などの薬を副鼻腔に送りこむネブライザー療法などを行います。飲み薬では、細菌検査の結果を参考に薬を選び、長引く場合はマクロライド系の抗菌薬を少量、長期に続けることも行われ、良い治療成績が得られています。
Last update: 2023年1月10日