一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う代表的な病気

口・のどの症状

のどが痛い

 のどが炎症を起こすと神経が刺激され、痛みを感じます。かぜのほか、のどの炎症には、のどの粘膜が腫れた咽頭炎・扁桃腺が腫れた扁桃炎・扁桃のまわりに膿がたまった扁桃周囲膿瘍・のどの奥の喉頭が腫れた喉頭炎・喉頭の入口にある喉頭蓋が腫れた急性喉頭蓋(がい)炎などがあります。小児に多い病気には溶連菌感染症、ヘルパンギーナや手足口病、プール熱などのウィルスによるものや発熱や咽頭、口腔痛、リンパ節腫脹を繰り返すPFAPA症候群などがあります。成人では溶連菌感染症や伝染性単核球症(EBウィルス)などがあります。
 扁桃炎扁桃周囲膿瘍はものを飲みこむときの強い痛みがあります。喉頭炎は声がかれます。急性喉頭蓋炎は強く腫れると気道をふさぎ呼吸困難になることがあるので注意が必要です。のどに痛みがあり、呼吸がつらいと感じたら直ちに耳鼻咽喉科医を受診してください。

のどに違和感がある

 のどに何かがひっかかっている感じ、痰がこびりついている感じ、のどが狭くなった感じ、のどが押さえつけられる感じなど、のどに違和感を訴える方はとても多いです。原因も様々で、咽喉頭(のど)の病気、鼻副鼻腔の病気、甲状腺の病気、頸部の病気、食道の病気など、体の一部分に異常を認める場合の他、全身の病気(貧血、自律神経失調症、更年期障害、糖尿病、精神疾患など)の一症状としてのどに違和感を認めることがあります。アレルギー性鼻炎、咽頭炎・喉頭炎といった感染症、胃食道逆流症などが原因であることが多いですが、喉頭がん咽頭がんの初期症状の場合もありますので、気になった際には早目に耳鼻咽喉科での診察を受けられることをおすすめします。診察や検査で症状の原因となる異常を認めないことも多く、咽喉頭異常感症と呼ばれますが、症状の原因となりうる病気を認めないか、きちんと診察・検査を受けることが重要です。

息がしにくい

 息がしづらいという症状は、のど、気管、肺、心臓、精神的な問題など様々な原因によって起こります。実際に息がしづらいときは生命にかかわることもあるので、速やかな処置が必要ですが、もし余裕があれば、まず、本当に息がしにくいのか、あるいは息ができないのか、それともしにくい気がするだけなのかを区別することが大事です。ゆっくり深呼吸してみて、楽に息を吸ったり吐いたりすることができれば、精神的な問題も原因として考えられます。しかし、呼吸がうまくできず、ぜいぜい、あるいはヒューヒューといった音がする、さらに声もかれている、むせるなどの症状がともなっているときは、空気の通り道が何らかの原因で狭くなっている可能性があるので、原因を調べて対応しなければなりません。特に食事を摂れないほどの強い痛みをのどに感じる場合は、急性喉頭蓋(がい)炎や扁桃周囲膿瘍の可能性が、誰が聞いても分かる強い声がれを伴う場合は、喉頭がんや下咽頭がんの可能性がありますので、急いで耳鼻咽喉科を受診してください。

しゃべりにくい

 人が言葉をしゃべるとき、音としての声そのものが出にくいのか、音はふつうに出せるがうまく言葉にできないのか区別しにくいかもしれません。前者は医学的には発声障害と呼ばれます。ここでは医学的には言語障害と呼ばれる後者について説明します。声帯で声が作られ、咽頭、口腔(舌)、鼻腔で言葉になるので、声は出せるけど言葉にならない、あるいは言葉がはっきりしないときは、声帯以外の器官に異常が起きていることが考えられます。原因、病状は多岐にわたり、たとえば同じ脳卒中後でも、口腔や舌の筋肉を動かす神経が麻痺してろれつがまわらないといった症状が出ることもあれば(運動性構音障害)、脳の言語中枢に障害が起きて意味のある言葉をしゃべることができない状態になることもあります(失語症)。その他、言語発達遅滞(ちたい)、脳性麻痺、舌小帯短縮症、口蓋裂(こうがいれつ)など小児期に対処が必要な言葉の障害、がんや怪我によって口腔や舌の形状が変化したり動きにくくなることによる言葉の障害もあるので、まず原因を確定し、専門家による適切な処置を講ずる必要があります。

声がかれる

 声のかれを起こす代表的な病気はかぜにともなう急性喉頭炎ですが、この場合、声のかれは病気の改善とともに良くなります。しかし声帯の下から気管が腫れた場合は呼吸管理が必要となる場合があります。口の中に音がこもっているように聞こえる含み声は急性喉頭蓋(がい)炎扁桃周囲膿瘍など、のどに強い炎症を伴う病気を疑う必要があります。声のかれが長い期間にわたって続く場合には、声帯ポリープ声帯結節喉頭がん下咽頭がん、声帯麻痺(反回神経麻痺)などを疑う必要があります。声がかれた場合には、なるべく早く耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

せき・痰が出る

 1~2週間程度の一時的なせきを起こす代表的な病気はかぜですが、とくに急性喉頭炎や急性気管支炎を起こした場合にはせきが出やすくなります。長い期間にわたってせきが続く場合には、胃食道逆流症や、喉頭アレルギー、血圧の薬の副作用、せき喘息、慢性気管支炎、肺結核、肺がんなどさまざまな病気の可能性があります。痰は、呼吸器の粘膜を保つために分泌されている液体が、かぜや気管支炎、気管支喘息、咽頭炎喉頭炎などによって増えてしまい、のどから塊になって出されるものです。また、鼻水がのどに回って痰と感じることもあります(後鼻漏)。せきや痰が続く場合には、内科や耳鼻咽喉科の診察を受けることが大切です。

痰に血が混じる

 口から出たものに混じる血は、いろいろなところから出血している可能性があります。鼻、口の中(歯ぐき・舌など)、のど、食道などの消化器、肺などの呼吸器、いずれから出血しても痰に血が混じります。血をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいると出血が止まりにくくなり、痰に血がまじりやすくなります。
 耳鼻科では鼻血が出ていないか、口の中から出血していないか、のどの奥から出血していないか、また鼻・口・のどにがんがないかなどを中心に調べます。耳鼻科領域に何も異常がなければ、内科の先生に首から下を調べてもらうことになります。

飲み込めない・むせる

 食べ物や飲み物は、のどから食道に入り、胃に送り込まれます。飲み込めないという症状がでるときは、通り道のどこかが何らかの理由で狭くなっている、あるいは送り込む筋肉などの働きが低下しているといった理由が考えられます。炎症の場合も粘膜が腫れて飲み込めないという症状のでることがありますが、もっとも注意する必要があるのは腫瘍、なかでも悪性腫瘍により通り道が狭くなる状態なので、咽頭がん、食道がんなどの有無をしっかり確認する必要があります。むせるというのは本来は食道、胃に入る飲食物が喉頭でうまく仕分けされず、気管、気管支に入り、その刺激で咳が出る状態です(誤嚥:ごえん)。この場合も悪性腫瘍の存在や、声帯の運動障害の有無などをチェックする必要があります。高齢者で飲み込みの機能が低下し、誤嚥を繰り返すと重篤な肺炎になることもあります(矢印)。

高齢者の嚥下性肺炎症例

いびきをかく

 いびきは、睡眠中にのどがせまくなり呼吸によって振動しやすくなるために起こります。睡眠時無呼吸症候群が代表的な病気ですが、無呼吸をともなわない場合には単純ないびき症と呼ばれます。また、副鼻腔炎アレルギー性鼻炎など鼻の病気がある場合や口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)が大きいといびきをかきやすくなります。いびきの診断には、鼻やのどの診察と内視鏡検査、顔のレントゲン検査、睡眠検査などを行います。

味がしない

 味覚異常を参照してください

Last update: 2022年12月14日
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