小児の嗄声
かいと(6歳)君は耳鼻咽喉科健康診断で「声の異常」を指摘されました。指摘されてみると、ずっとハスキーな声です。日頃から活発で、サッカークラブに通っています。耳鼻咽喉科を受診するように言われましたが、必要でしょうか。
- Q1.「声の異常」とはどのような状態ですか。
- 医学的には「嗄声(させい)」と言われ、「音質」の異常を表します。嗄声は耳で聞いた感じで、ガラガラした声(粗ぞう性〈そぞうせい〉)、かすれた声(気息性〈きそくせい〉)、弱々しい声(無力性)、力んだ声(努力性)などに分類されます。小児期にみられる、主に粗ぞう性の嗄声を小児嗄声と言うこともあります。
- Q2.嗄声の原因となる病気には何がありますか。
- かぜをひいた時に声が出しづらくなるのは、かぜの部分的な症状として、のどの奥にある声帯という場所の粘膜が炎症(喉頭炎)をおこすためです。
声の使いすぎや、無理な発声のために声帯に小さなイボのようなでっぱりができるのが、声帯結節(せいたいけっせつ)と言われるものです。学校や幼稚園の先生、歌手など声をよく使う職業の人に多くみられます。子ども、特に男の子はスポーツで大声を出したり、声の使い方が悪いために嗄声となることがよくあります。
- Q3.耳鼻咽喉科を受診する必要がありますか。
- 軽い嗄声であれば、声の安静をこころがければ自然によくなることもあります。嗄声が1週間以上続いたり、次第に悪くなっていくような場合は、耳鼻咽喉科専門医の診察を受け、原因を見つけてもらいましょう。乳頭腫などの治療を要する疾患の場合もあり、検査を受けることが望ましいと考えられます。
- Q4.治療はどのようにするのですか。
- 声帯結節による場合は声の安静が第一です。大きな声を出しすぎない、のどを詰めるような無理な発声を避けるなどです。過度の発声制限は患児の精神発達上好ましくありません。不適切な発声がある場合は指導が必要なこともあります。また、後鼻漏(鼻水がのどに落ちてくること)も影響していると考えられる場合は鼻の治療も必要です。声変わりの時期に声帯が前後に急激にのばされる時期があり、そのときに結節も一緒に消えてしまうことが多いので原則的に経過観察を行います。また、結節が大きいために嗄声がひどく、音楽や教科書の音読に支障があったり、友達とのコミュニケーションがうまくいかず、心理的にも悪い影響が出てきた場合には手術が必要な場合もあります。耳鼻咽喉科専門医とよくご相談してみてください。
Last update: 2022年12月1日